「関西風おでん」食べる人が知らない驚きの歴史 薄味が特徴だが、昔は真っ黒で濃い味だった
東洋経済オンライン / 2024年2月28日 12時20分
私が子供の頃、数十年前の東京のおでんといえば、醤油で真っ黒に煮染めたものでした。
一方、現在の東京におけるコンビニなどのおでんは、薄味の関西風おでんが主流を占めています。
そんな中、昔風の真っ黒なおでんの伝統を守っているのが、大正時代創業の「銀座お多幸」。
ところがおでんの歴史を研究している新井由己の『日本全国おでん物語』によると、お多幸の創業者は元々神戸に在住しており、現在のおでんも昆布と薄口醤油を使用したおでんなのだそうです。
かつては真っ黒だった関西のおでん
「関東煮(かんとだき)」とよばれていた関西のおでんは、かつては東京のそれと同じく、真っ黒で濃い味でした。
新井由己によると、大阪の老舗「たこ梅」も甘辛の濃い味。大正時代生まれの大阪の人に聞くと、かつての家庭の関東煮もやはり「たこ梅」のような甘辛味だったそうです。
私が調べた戦前の大阪生まれの人々の証言においても、かつての関東煮は真っ黒で濃い味でした。
1923年大阪生まれの詩人・牧羊子の証言です。
“濃口は関東炊きの煮込みで代表されよう。蒟蒻のへりがチリチリと濃い醤油色に煮しまってこそ、関東炊きのかんとだきたる所以”
“たこ梅だけではない。戦前の大阪の街角では、名もない店、屋台のそれをすべて関東だきと正調でよんだものである。従って味つけも関東風にドドがらしくなくっちゃ駄目。うす味のおでんなんて得体が知れない”(牧羊子『味をつくる人たちの歌』)
1907年大阪生まれの歴史学者・宮本又次によると、大正時代の屋台の“煮え詰まった関東煮は黒ずんで見えた”(『関西と関東』)。宮本によると関西と関東のおでんの違いは、味や色の濃い薄いではなく、出汁を使うか否かなのだそうです。
1888年大阪生まれの画家・鍋井克之にとっても、子供の頃から関東煮といえば真っ黒。
“店先へ鍋を出して、ぐつぐつと煮詰めている大阪の関東煮は、どうしてこう黒っぽいのかと、昔からこれが気になっていた”(『大阪繁盛記』)
1962年に出版された『大阪ぎらい物語』においても、当時の造幣局の花見屋台、天王寺境内の屋台、海水浴の茶店、西宮球場周辺の店の関東煮は真っ黒だったと書かれています。どうやらこの頃(昭和30年代)までの関東煮は、まだ真っ黒だったようです。
そんな鍋井克之が薄味のおでんに出会ったのは、大阪ではなく東京の銀座においてでした。
薄味の関西風おでんは銀座生まれ?
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