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日鉄「USスチール買収」トランプの壁を超える方法 USWとは秘密保持契約を結べたが…

東洋経済オンライン / 2024年2月29日 7時40分

これまでは、NDAなど交渉の基本ルールに関する弁護士同士の話し合いが中心だった。今、期待されているのは、今後数週間のうちに実質的な協議を開始できることだ。NDAにつながるこの対話はほぼ報道されていないが、その理由の1つは、USWが外国人による買収をけっして受け入れないかのように話しているからである。

合意に達するのは容易ではない。だが、双方は真剣に取り組み、大統領選前に合意に達しようと努力はしている。

今回の騒動はすべて、選挙期間中の政治的背景から生じている。ジョー・バイデン大統領はおそらく、ペンシルベニア州で勝利しない限り再選は無理だろう。

また、シェロッド・ブラウンがオハイオ州で再選を果たさない限り、民主党が上院議員を維持するのは非常に難しい。一方、USWが満足したと宣言すれば、バイデン政権とペンシルベニア州などの民主党上院議員は合併を支持するだろう。

バイデン自身はこの買収に反対だとは一言も言っていない。実際、CFIUSは数え切れないほどの日本企業の買収を審査してきたが、阻止された例はない。日本製鉄が中国での資産を手放さざるを得なくなる可能性もあるが、CFIUSは厳密には法的なプロセスではなく、政治的なものである。

仮にCFIUSの技術スタッフが国家安全保障上の脅威がないと判断したとしても、内閣レベルの組織と大統領は取引を禁止することができ、国民はスタッフの報告書の内容を知ることすらできないだろう。

朗報は、議会にこの取引に反対する勢力がないことだ。民主党の上院議員4人と共和党の上院議員3人、それに下院議員435人のうち両党の53人しか合併を非難していない。さらに、重要な州で再選を目指す民主党のブラウン上院議員(オハイオ州)とボブ・ケーシー上院議員(ペンシルベニア州)は、12月の最初の発言以来、選挙演説でこの問題についてあまり触れていない。

成功のカギは「大統領選前」に合意できるか

従って、合併を確実にする最も有効な方法は、11月の大統領選前に日本製鉄と鉄鋼組合が合意に達することである。公の場では、日本製鉄は時より、自己満足的な発言をしている。

実際、日本製鉄に対してUSWとの取引が政治的に必要なのではないか、と質問したところ、広報担当者は法律的な建前論の枠を出ない答えをメールで送ってきた。

「我々は、CFIUSのプロセスによって、我々の取引が国家安全保障に脅威を与えるものではないと判断されると信じている」。とはいえ、水面下では日本製鉄首脳陣はUSWとの何らかの取引の必要性を十分に認識していたと言われている。NDAの設立はこれを裏付けている。

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