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「皆婚→難婚→結婚不要」社会に至る深刻なワケ 結婚しない若者の増加は中高年世代に責任も

東洋経済オンライン / 2024年3月2日 11時30分

彼ら自身、自らの両親の体験談でありながらも実感を持てない様子で、「ふ~ん」「すごいね……」くらいしか言えなかった様子が窺えます。

ある意味、「昔はこんな苦労をしてね……」という戦中世代の話以上に、「昔はこんなに良かったんだよ」的な話も、比較の対象がなさすぎて実感に欠けるのです。 現在の大学生の親たちは、ぎりぎりバブル期に就職・就労をした世代が多いのです。

かくいう私自身も、いわゆるバブル期に社会人となり大学勤務となりました。一般企業のような華やかな青春時代は送れませんでしたが、それでも当時の社会的熱狂、若者の持つパワー、一種異様な金銭感覚と狂乱めいた経済感覚は肌身で受け止めていました。

「専業主婦」と「働く妻」男女の結婚観に差

あれから30年が過ぎ、今の日本経済に当時の面影はありません。現在の日本では、「子どもを四年制大学に進学させられる家庭」イコール「裕福な家庭」とは限りません。

学生自身が一所懸命アルバイトをして、学費や一人暮らしの生活費を賄っていたり、奨学金を借りて社会人になると同時に返済し始めたりするケースも珍しくありません。

そんな学生たちは、身近な先輩たちから就職のリアルを聞き出し、戦々恐々としています。

「制度的に有給休暇はあるが、すべて取得することはできない」「一年中、超過勤務だらけ」「ブラックな企業でメンタルを病んだ」「どんなに頑張っても給料は上がらない」「むしろボーナスカット続きだ」など。

今は学生の身分でも、「将来、定年まで働き続けて、家族を養うこと」はそれだけで非常にハードルの高いことだと敏感に察知しているのでしょう。

だからなのか、女子学生には「専業主婦」希望者がいまだ半数に及びます。先輩の話を聞いていて、「朝から夜まで働かされるのはつらい」という意見です。

その一方、“一家の大黒柱”と目される側の男子学生は「理想とする結婚スタイル」として、「ダブルインカムが大前提」と語るケースが多くなったのが印象的でした。

すでに20歳前後にして、男女の結婚観に大きな乖離、すなわちミスマッチが生じていることが窺えます。これは30年前に起きていたミスマッチ、つまり「男性は妻に家庭に入ってほしいが、女性は子どもが生まれても働き続けたい」とは真逆のものでもあるのです。

しかし仮に、望み通りに「働く妻」を得られ、「ダブルインカム」になったところで、かつてのような可処分所得の多い裕福な夫婦、いわゆる「パワーカップル」になれるとは限りません。

5割に迫る国民負担率が結婚を遠ざける

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