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データで深掘り「大谷翔平のピッチング」のスゴさ 細部に対する分析はビジネスの世界でも役立つ

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 14時0分

横方向への変化が大きく(=曲がりが大きく)、上方向への変化も大きい(=落差は小さい)ことがわかりますね。

このように特徴的な軌道を描く大谷選手のスイーパーですが、実は大谷選手はスイーパーを投げるとき、投げ方を少し変えています。どのような違いがあるのかご存じですか?

スイーパーの秘密は「箱ひげ図」が教えてくれる

試合の映像を見ながら違いを判別するのは難しいかもしれませんが、リリースポイント(投球の際にボールが手から離れた位置)に着目すると、その違いがはっきりとわかります。

以下のグラフは、大谷選手の球種ごとのリリースポイントの左右位置を示した箱ひげ図です。

グラフを見ると、スイーパーを投じるときのリリース位置が、他の球種に比べて横にあることがわかります。大きく横に曲がるスイーパーを投げられる理由のひとつに、腕を少し横振りにして投げていることが挙げられそうです。

このリリースポイントの違いを目視で見抜くことは、よほど目の肥えた人でなければ難しいでしょう。しかし、データを分析してビジュアライズすることで、誰でもその違いを把握できるようになります。

こうした発見は、例えば自分が投手であれば、より大きく曲がるスイーパーを投げるときの参考になるかもしれません。草野球でマウンドに上がる予定のある方は、試してみてください(笑)。

また、打者の立場であれば、球種を判別する際のヒントになるかもしれません。データの使い方は、考え方次第で様々な形に広げていくことができるのです。

今回は、大谷選手の野球データでしたが、この「細部に対する理解を深めつつ発見したことを周囲に波及させていくことが重要になる」点は、野球以外にも共通するのではないかと思います。

自社や他社について感覚的・経験的に理解するだけでなく、データを元に定量的に把握することは、野球の世界でもビジネスの世界でも競争優位性を確立する鍵になってくるはずです。

そして、データを分析し可視化する際には、プログラミングを活用することで、効率や自由度を格段に高めることができます。もちろんExcelでも一通りデータ分析を行なうことはできますが、大量のデータを扱ったり、より手の込んだ見せ方をしたりするためには、プログラミングの活用が不可欠になるでしょう。

プログラミングのなかでも特に、こうしたデータ分析や可視化にあたっては、プログラミング言語のひとつである「Python」が頻繁に用いられます。

Pythonの文法はシンプルで読みやすく、初心者にとって学びやすいことで知られています。さらに、ここ最近で一気に普及したAI(人工知能)の開発でも、Pythonが頻繁に使われるなど、汎用性の高さも魅力のひとつです。

とにかく手を動かして実践してみる

膨大なデータが収集可能になったいま、Pythonはプログラマー以外の人が使う場面も増えています。求人サイトを見ていてもPythonに関連するものは非常に数が多く、活用の場が広がっていることは明らかです。

習得すれば、市場価値の高い武器となる「Python」。

プログラミング初学者の方にはハードルが高いかもしれませんが、まずは自分が興味のあるデータから、完璧に理解できなくても手を動かして実践してみてもらいたいと思います。

齋藤 周:福岡ソフトバンクホークス・アナリスト

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