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ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 7時40分

2023年12月末時点で、外国証券や投信の運用残高は83.3兆円と国債の41.6兆円にダブルスコアをつけ、PEや不動産といったオルタナティブ資産の残高も10兆円に達している。

市場部門のマネジメント職を歴任してきた笠間氏を新社長に据えるゆうちょにとって、目下の経営課題は2つある。1つは、有価証券運用やリテール業務と並ぶ、新たな収益柱の育成だ。

新社長発表と同日、ゆうちょはPE投資を担う子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ」の設立を金融庁に申請した。同社は2016年度からPE投資を始めたが、投資先はもっぱら海外企業だ。加えて、ゆうちょは投資家として出資するだけで、ファンドの組成や運用には携わっていなかった。

新会社では、ゆうちょ自らファンドマネジャーの役割を担い、国内企業へのPE投資を推進する。郵便局の店舗網や地域金融機関のネットワークを活用し、地域で活動する中小企業を発掘する。

金利上昇局面で問われる次の一手

もう1つは、金利上昇局面でのポートフォリオ構築だ。折からの海外金利の上昇を受けて、これまで収益を下支えしてきた外債では外貨調達コストが膨らみ、一部の北米オフィスビル向けローンでも引き当てが生じている。

同様に、金利に先高観がある国内では国債への回帰が焦点となりそうだ。ゆうちょの国債運用残高は2022年末の37兆円を底に、足元では反転している。日本銀行による金融緩和政策の修正で長期金利が上昇し、日本国債の投資妙味が増しているためだ。

「今まで日銀当座預金に60兆円程度を置いていたが、これからは日本国債の投資に振り向けたい」と、笠間氏は意気込む。

金融庁や大手銀行などからの「落下傘社長」が続いたゆうちょにとって、笠間氏は民営化後初の内部昇格でもある。有価証券運用やリテールなど、社内で業務経験を積んだ人物の社長就任が今後も続けば、人事面でも「民営化」に近づくことになりそうだ。

一井 純:東洋経済 記者

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