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昼下がりに眠気が強くなる人の体に将来迫る危険 血糖値の急変動に覚えがあるなら生活上の工夫を

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 14時0分

この血糖値が急激に上がって、その後急峻に降下する様を「血糖値スパイク」と呼びます。「食後高血糖」から血糖値の乱高下(すなわち「血糖値スパイク」)が生じるのです。

ここでご理解いただきたいのは、糖質疲労と名づけた様々な症状は、この「食後高血糖」と「血糖値スパイク」の影響で生じているということです。

もちろん、食後の眠気や疲労感などには、睡眠不足や過労など基本的な体調の問題や、睡眠時無呼吸症候群など別の病気が原因の場合もありえます。ですので、食後に体調不良を感じていれば、そのすべてが「糖質疲労」というわけではありません。あくまでも「食後高血糖」や「血糖値スパイク」により感じている食後の体調不良が「糖質疲労」です。

一般的な健康診断でチェックするのは空腹時の血糖値なので、「食後高血糖」や「血糖値スパイク」について、健康な人が知る機会はまずありません。

しかし、これらの現象が、今日のパフォーマンスと明日の健康を脅かしているのです。

さらに、私自身もとても驚いたことなのですが、普段からかなりの運動をしている方や、プロアスリートの方たちですら、「食後高血糖」「血糖値スパイク」を呈して、糖質疲労を感じるという方が多いのです。

よく知られる健康法や健康習慣、トレーニング法などの中にも、それらの効果を無にするばかりか、「食後高血糖」と「血糖値スパイク」を起こしかねないものもあるのです。

「病気」までのカウントダウンは「あと10年もない」!?

先にも述べたとおり、空腹時高血糖が起こる10年ほど前から食後高血糖が生じます。糖質疲労は食後高血糖やその後の血糖値の急峻な降下(血糖値スパイク)の自覚症状ですので、糖質疲労は、健診で異常を指摘される10年ほど前から生じることになります。

糖質疲労の段階ではまだ病気とは言えず、いますぐにお薬を飲む必要があるわけではありませんが、放置しておくと、いずれドミノ倒しのように糖尿病・肥満・高血圧症・脂質異常症に至る可能性があります。

糖質疲労から始まる負の連鎖は、ある時点から「不可逆的」になります。身体の細胞や臓器に代謝上の記憶が刷り込まれ、完治しなくなってしまうのです。しかし、糖質疲労の段階ならば、「可逆的」な状態なのです。

もし「そういえば30代(40代)のときは午後も元気だったのに、40代(50代)に入ってから昼下がりに眠気が強くなっている」とお感じならば、糖質疲労(食後高血糖)の有無をご確認いただき、そうであるならば、ぜひ、生活上の工夫をしていただきたいです。

食後高血糖から健診でひっかかる空腹時高血糖までは10年と申しました。しかし、もし糖質疲労があるとすると、すでにドミノは上流で倒れ始めています。10年の猶予はないのです。

山田 悟:北里大学北里研究所病院副院長、糖尿病センター長

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