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事故に即応「突発的臨時列車」はなぜ運転できたか 新幹線停電や羽田事故、その時鉄道各社は?

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 6時30分

JR東日本に聞くと、この臨時列車は東京―黒磯間を管理する東京総合指令室と、黒磯―仙台間を管理する仙台総合指令室の両者で車両や乗務員、列車時刻を調整した上で設定したとのことだ。車両は特急型のE653系電車を使用した。直流電化区間と交流電化区間の両方を走行できる交直流電車なので直通運転が可能だ。

車両はつねにスタンバイしているわけではなく、使用できる車両を確認し手配したという。今回の場合は、交直流電車という汎用性の高い車両が空いていたから設定できたといえる。控えの乗務員もつねにいるわけではない。乗務員も、誰もがどの路線でも運転できるわけではない。臨時列車の運転を検討する線区に対して、その区間に乗務できる社員を手配しているとのことだ。

この臨時列車は東京駅15時33分発だった。JR東日本の発表によると、新幹線の架線破損が起きたのは9時58分。約5時間で、通常は直通が走らない区間の列車を準備したことになる。

また、新幹線の停電が起きた1月23日と翌24日は、常磐線の特急「ひたち」の一部列車も、臨時にいわき―仙台間を快速として延長運転した。

通常のダイヤでは、東京方面と仙台を結ぶ「ひたち」は1日3往復だ。臨時快速は、単に運転区間を延ばしただけではなく、複雑なやりくりで車両を確保した。

「ひたち」臨時快速はどう運転したか

まず臨時でいわき―仙台間を運転することになったのは、下りの9号(品川10時45分発)だった。この列車は13時15分にいわき着、そこから仙台まで快速として運転した。

一方、上り仙台発の最初の臨時列車となったのは、通常はいわき始発(16時18分発)の22号で、仙台を13時25分発となった。9号の仙台着より早いため、この列車には9号の車両は使えない。ではどうしたのかというと、この列車には通常ダイヤで品川―仙台間を走る下りの3号(仙台12時29分着)の車両が充てられた。3号の車両は、本来は上り26号(仙台16時06分発)として品川に折り返すため、そのままでは26号に使う車両がなくなってしまうが、ここに臨時快速として仙台に到着した9号の車両を充当した。

さらに、臨時で仙台まで延長した下り25号(品川18時45分発)の車両を、翌日の上り8号(仙台6時46分発、通常はいわき始発9時20分)に使用した。

この快速列車のダイヤは、あらかじめ決まっておらず、新幹線の長時間の運転見合わせを受けて対応した。だが、臨時運転の前例はあった。2021年2月、2022年3月に発生した福島県沖地震の際にも同様の対応を行っていた。その経験を活かし、「迅速に対応できたと考えております」とJR東日本は説明する。

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