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集合住宅「災害時のトイレトラブル」を避ける対策 気付かず使うと、汚水が上の階から下の階へ

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 18時0分

これらは、建物の給水方式の違いによることが考えられます。

給水方式は大まかに分類すると4方式です。「直結直圧方式」は、水道本管からの圧力で直接給水します。通常は3階までの建物に採用されます。この方式の場合、停電していても水が出ます。

一方、ほかの3つの方式では、いずれもポンプで圧力をかけて給水するため、停電と同時に断水します。

ただし、屋上にある高置水槽に一旦貯めてから自然流下で各戸に給水する「高置水槽方式」では、停電によりポンプが停止したとしても、高置水槽に貯まっている水が出ます。つまり、この方式を採用している建物では、高置水槽が破損しなければ、そのときに貯まっている水を自然流下で有効活用できます。

給水方式によって災害時の対応方法が異なるので、自宅の給水方式を把握しておくことが大事です。

■断水時は「高置水槽」の水を活用する

高置水槽方式は、建物の屋上に水槽を有する給水方式です。災害時、高置水槽が損傷していなければ、地域が断水していたとしても、水槽内に貯まっている水を利用できます。

ですが、もしも高置水槽の存在を理解していなければ、通常どおり水洗トイレなどを使用してしまい、貴重な水を失うことになります。

貴重な水はルールを設けて使う

東日本大震災のとき、高置水槽の水があることを認識していた病院勤務の看護師さんは、使用する水洗トイレの場所を限定しました。そして、3回使用したら1回流すというルールを設けて、水を大切に使用しました。

その甲斐あって、上水が復旧するまで高置水槽の水でつなぐことができました。このように高置水槽の限られた水を活用することは重要です。

平成30年7月の西日本豪雨のときも、病院で同様の取り組みがありました。この病院は、水洗トイレの使用を禁止し、ビニール袋の中におむつを入れて携帯トイレのようにして使用しました。高置水槽の水を医療関連に優先的に使用するための工夫です。

いずれにしても、高置水槽の水を有効活用した事例です。病院に限らず、建物に高置水槽がある場合は、平時の貯留容量と点検方法を確認し、活用のためのルールを決めておくことが必要です。

■受水槽の非常用給水栓と緊急遮断弁の扱い方

4つに分かれる建物の給水方式のうち、高置水槽方式と加圧給水方式には「受水槽(高置水槽を含む)」が備わっています。停電により断水した際でも、受水槽があれば、その中に一定の水が確保できていることになります。

自治体に事前に確認しておくこと

自治体によって対応方法は異なりますが、災害時に受水槽内の水道水を有効活用できるように、受水槽に「非常用給水栓」を設置する場合の取扱基準を設けている場合があるので、事前に確認しておきましょう。

非常用給水栓が設置してある場合、受水槽内にある水量を把握しておき、給水栓から取り出した水をどのような容器に入れ、どうやって運ぶのか、何に利用するのかを考えておくことが必要です。

また、受水槽には「緊急遮断弁」が設置されていることがあります。

緊急遮断弁とは、受水槽の出口側に設置し、地震の揺れを感知して弁を閉めることで、受水槽内の水が流出しないようにするための装置です。作動すると、配水管に支障がなくても断水と同じ状態になりますから、緊急遮断弁の解除方法も確認しておきましょう。

加藤 篤:日本トイレ研究所代表理事

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