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東大より攻めてる?「上智大の日本史」問題の凄さ 「現代的な視点」から歴史を見る良問だ

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 11時0分

政治にも絡む内容を入試問題として取り上げることには賛否両論あるでしょう。しかし、過去があるからこそ今があるのであって、歴史と現代とを結びつける試みは検討するに値すると私は考えています。例えば、今年度は最後に次のような問題が用意されていました。

〈問題〉

〈祝祭型資本主義〉の意味するところを理解したうえで、問題文を参考に下記①~④から1つを選び、どのような〈祝祭〉を目くらましにどのような政治目的が果たされようとしたのか、200字程度で説明しなさい(事例によっては、「資本主義」は「専制政治」などへ置き換えて理解してもよい)。

① 古代における東大寺大仏の造営
② 謝恩使・慶賀使など琉球使節の江戸入り
③ 大日本帝国憲法の発布


④ 1964年オリンピック東京大会の開催

国家的イベントの裏には政治目的がある

〈祝祭型資本主義〉については、問題文に「商業五輪と新自由主義の結託した再開発」と説明がありました。たしかに、オリンピックや万博といった国家的イベントの裏には政治目的があります。人々が〈祝祭〉空間に目を奪われている間に、その目的も達成されているのです。

そのような事例は、歴史上にも見受けられます。聖武天皇は、民衆の協力を得ながら大仏を造営することで、自らの威勢を誇示するとともに、鎮護国家の仏教の力で疫病や政争などの不安を一掃しようとしました。江戸幕府は、琉球からの使節に異国風の服装や髪型を強制することで、将軍が異国人を入貢させているという構図を演出しました。大日本帝国憲法の発布や、1964年の東京オリンピックの開催にも、日本が近代国家の一員であり、平和国家として戦後の復興を果たしたことをアピールする狙いがありました。

こうして見ると、「歴史は繰り返される」ということの意味がよく分かります。見かけは違えども、同じ図式が繰り返されているのです。それは、一つの視点を設定することで見えてきます。その意味で、この問題は現代的な視点から歴史を見る良問であると思います。

皇位継承のあり方について歴史にヒントを得る

ところで、上智大日本史のようにあからさまではありませんが、東大日本史にも現代的な関心から出題されたと思われる問題が見受けられます。例えば次の問題です。

〈問題〉

9世紀後半になると、奈良時代以来くり返された皇位継承をめぐるクーデターや争いはみられなくなり、安定した体制になった。その背景にはどのような変化があったか。5行以内で述べなさい。

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