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世界株高から置き去り「沈む中国株」の根本要因 権力集中が招いた苦境、トランプ勝利でどうなる?

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 7時40分

しかし外的要因に目を向けると、現状を好転させる材料がないわけではない。それが2024年11月のアメリカ大統領選挙である。一般にはトランプ元大統領が再選すると対中政策が厳しくなると見られているようだが、筆者はそうは思っていない。トランプ元大統領が再選すると対中政策は緩和的になると見ている。

むしろ、バイデン現大統領は「人権問題」を前面に出し、アメリカから離れかけていたEUと日本を味方に戻すことに成功している。人権問題を大切にする姿勢など、バイデン大統領の「先進国としてのあるべき論」を重視する政策は、少なくともEUと日本の知識層に好まれている。

冒頭の株価指数のチャートを2020年1月からとしたのは、パンデミックの影響や、2020年6月の香港国家安全維持法の施行による影響に加え、バイデン大統領就任(2021年1月20日)後の値動きをご紹介したいという理由からだ。中国の株価指数の動きを見ても、バイデン大統領就任以降はふるわないことが明らかだ。

G7各国はトランプ元大統領の時代に「本当にアメリカとだけ付き合っていていいのだろうか?」という問いに答えを出せずにいた。そして、EUは中国と中欧投資協定に大筋合意して経済圏としての深化を目指した時期があった。しかしバイデン大統領になって以降、中欧投資協定の批准に向けた審議は停止され、EUは再びアメリカとの関係を深めるに至っている。

だがバイデン大統領の推し進める「先進国としてのあるべき論 ≒ 高貴な価値観」はG7の心を統合させた一方で世界を二分させてしまった。独裁的、強権的、一極集中的な政治を行う国と、高貴な価値観を大切にする国の溝は深まってしまっている。

ひるがえってトランプ元大統領の時代は、ビジネス重視の柔軟な政策により、G7各国はアメリカに対して疑心暗鬼に陥ったものの、実は世界は多極化へと向かい、中国やロシアにとっては他の国と繋がりを強化する機会が増えていた。ゆえに中国はトランプ元大統領の再選を望んでいるだろうし、それが叶えば外的要因としては1つ大きなプラスとなる。

トランプ氏勝利は中国経済にプラス

ではトランプ元大統領は選挙を勝ち抜けるのか? その可能性は十分ありそうだ。いわゆる高貴な価値観(中所得以上、人権重視、環境汚染反対、グローバル思考)は世界中から集まった多民族国家のアメリカの多数派ではなくなりつつある。

トランプ氏のようにエネルギッシュで金銭的に成功をおさめ、かつはっきりとものをいう人物を、アメリカ国民は(バイデン大統領との比較において)評価しているように見える。その審判は2024年11月に下される。

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