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かまいたち濱家「薬剤師蔑視で炎上」も同情の理由 変数が多すぎると個人の努力で防ぐのも限界が

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 18時30分

ただでさえ、ここ最近は相次ぐ不祥事によって、アンチテレビの風潮が加速している。ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の改変問題に加え、先日は「逃走中」(フジテレビ系)のロケスタッフが、近隣住民を軽視するような、強引な撮影を行った件も話題になった。

テレビ局の一挙手一投足が「失点ありき」で注目されているなかで、あのトークを無編集で流すとどうなるか……という想像力が欠けていた責任は否定できないだろう。

加えて、近年では芸能人がテーブルを囲んだり、ひな壇に並んだりするトークバラエティーが増えている。出演者のエピソードトークに頼れば、制作陣はコンテンツづくりを「丸投げ」できるわけだが、そのぶんコンプライアンス意識やリスク回避には、これまで以上に目を光らせる必要があるのではないか。

いざという時、今回のように、矢面に立つのは出演者だ。「責任の負担を含めてのギャラ(出演料)設定だ」と言えば、たしかにビジネスとしては一理あるのだが、SNSなどでの芸能人への誹謗中傷が社会問題化される昨今、視聴者感情としては受け入れにくい。また、この構図が透けることで、ネットユーザーは「上から目線」の業界体質に反発を覚え、より「マスゴミ」への悪印象を強めてしまう。

ローカル番組も、全国で視聴できる時代

テレビ番組の視聴形態が変わったことも、炎上の性質が変化してきた一因に思える。ちょっと前までは、リアルタイムもしくは録画で見るしか手段がなかったが、いまやTVerで「見逃し配信」を楽しめる。テレビ局にとっては収益化の手段が増えた一方、不適切発言があれば、その出典元に直接アクセスできるようにもなった。

そもそも、これだけの炎上を巻き起こした「これ余談なんですけど・・・」だが、実は東京では放送されていない。キー局であるテレビ朝日は、その時間帯に別番組を流しており、日を改めての放送もない。しかしTVerの誕生によって、関西ローカルの番組でも、全国で視聴できるようになったのだ。

そのため、より多くの視聴者から見られているという意識を持たなければ、思わぬ場所で足を踏み外してしまいかねない。ローカル番組が持つ「独特のノリ」が、そのまま日本中に展開されたことによって、温度差が生じている可能性もある。

制作陣の想像力不足、アンチテレビの加速、トークバラエティーへの依存、TVerの出現……。こうした数々の「変数」がかけ合わされることで、今回の発言が炎上に至ったと考えると、かまいたちほどの売れっ子であっても、出演者一人ひとりの配慮で、どうにかなるレベルを超えている印象を受ける。

だからこそ、番組制作者たちの的確な編集判断が必要となるわけだが、こちらはこちらで人材不足が叫ばれている。かつてのような徒弟関係が時代錯誤と指摘され、若い映像クリエイターがYouTubeに活路を見いだす昨今、テレビ復調に向けた道はあるのだろうか。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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