1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

チョコザップ「将来目標1万店」の裏にある現実 「安かろう悪かろう」への転落回避の正念場

東洋経済オンライン / 2024年3月12日 7時40分

しかし現時点において、「マシンは動いていてもあまり動かせない。もしくは人が無理やり動かしている」といった細かい状況までは把握できないという。店舗に赴いて確認すると「コンセントが抜けていただけ」ということも多いそうだ。

1月以降は出店を抑え環境改善に軸足

無人店だからこそ起きる問題といえるが、瀬戸社長は「『人ありき』ではなくシステムとハードで制御するほうが想定外のことは起きない」と語る。

有人店で多店舗展開すると、サービス品質を一定水準に保つには店舗スタッフの能力に依存する部分が大きいと考える。人材の確保や教育も必須だ。それよりも無人のほうが安定した運営ができると瀬戸社長は主張する。

2023年度計画で約890店増という出店スピードも、「有人店だったら無理だった」(瀬戸社長)。

故障の特定をどのように行い、どう素早く対処するか。人が行っていたことをいかにデジタル技術で代替していくか。それを試行錯誤しながら進めているという。

チョコザップは走りながら検証・改善を繰り返す事業スタイルをとる。しかし出店や話題づくりだけが先行していてはサービスへの信頼すら揺らぐ。さすがに今年1月以降は出店を抑制。マシンの故障を含めて店舗内環境の改善に力を振り向けることにした。

出店攻勢に再び転じるのは2024年度に入ってからとなる。2027年3月には現在の約3倍に当たる3800店にする計画だ。

到達時期は明記しなかったが、「1万店舗以上」という目標も対外的に示している。単純比較ができないとはいえ、これはコンビニで約1万4600店あるローソンに近い規模になる。

プライム市場の上場なるか

大量出店を目指す中、ライザップの大株主でもある瀬戸社長は身銭を切って会社の資本増強を進めている。

3月7日、ライザップは瀬戸社長が保有する約2775万株を立会外分売で売却すると発表した。発行済み株式の約5%に当たる株が証券取引所の取引時間外に売り出されるわけだ。売却価格は3月14日の終値などで決められる(3月15~19日に分売予定)。

瀬戸社長は今回の売却で得た資金を昨年取得した新株予約権の行使にすべて回す。すでに自身の資産管理会社を通じた劣後ローンで、計100億円をライザップに融資。チョコザップの大量出店で資金が必要なライザップの財務安定化のために身銭を切っている。

この立会外分売の発表文には、「東証プライム市場への新規上場申請に向けた準備に着手している」との文言があった。2006年に上場した札幌証券取引所アンビシャス市場からの「卒業」は、個人投資家が長年待望してきただけに公言した意味は大きい。

その成否はチョコザップにかかっている。「安かろう悪かろう」ではなく、会員が満足できるサービスとして定着しなければ「1万店舗以上」の目標もただの夢。瀬戸社長自身が述べたように、「登山に例えると今はやっと入り口」だ。

緒方 欽一:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください