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イタリア人精神科医が語る「日本人の生きづらさ」 「察する」ことで自身の感情表現を蝕んでいる

東洋経済オンライン / 2024年3月13日 11時30分

不安が強く、過換気発作と不眠症、意欲低下で受診したCさん。最近、上司に叱られたり、結婚相手になじられたりするのが辛く、日常生活において喜びを感じないといいます。

自分の気持ちが理解されていないと思うけれど、自分の気持ちなんて伝えてもしょうがない、価値なんてないのではとも訴えていました。

Cさんも日本の「察する」という文化もあって、同期、上司、結婚相手の気持ちを読み取り、彼らの気持ちを踏みにじられないために、最善の配慮をしていました。

ただ、この思いやりこそ、自身の感情表現を蝕んでいる可能性があります。相手が怒るだろう、不愉快だろうと思うと、自分の気持ちを伝えるのをあきらめて、溜め込んでしまい、結果として、いろいろな意味で相手に近づけなくなっていきます。

仕事に行くと体調を崩し、結婚相手と接することすら、体調不良の要因となってしまうのです。

Cさんは自身の個人的な感情(表現)よりも、他者の感情や会社の成果のほうが、価値があると思っているのではないでしょうか。ただ、この考え方は、さまざまな健康被害につながる可能性があるのです。

「個人的な感情は、相手の感情より大切ではない」という思い込み

そこで、Cさんには、まずはなるべく自分の感情を書き出すこと(筆記開示)をおすすめしました。そのうえでさらに、まずde learning(デ・ラーニング)。という方法を伝えました。 

de learning(デ・ラーニング)とは、簡単に言うと、学んだ(思い込んだ)ことを忘れることです。

一見、とても建設的なこととは思えないかもしれません。ただ、もし学んだ(思い込んだ)ことが有害だとすれば、それは忘れてしまったほうがいいと思うはずです。

このケースでは、「自分の個人的な感情は、相手の感情より大切ではない」という思い込みを、忘れるべきといえます。

de learningのプロセスは単純なものとはいえず、長年構築した感性の軌道修正は、一回の取り組みでどうこうできるものではありません。しかし、こういった体験の積み重ねは、その一助となり得ます。テクニックは以下となります。

「自分の好きなこと、嫌いなこと」を口にする

まずは、「1日1つ、自分の好きなこと、嫌いなこと」を口にしましょう。
そうすることで、「個人的なアイデンティティー(personal identity)/固有性」が表出でき自分の好き嫌いを強く意識できます。

ポイントは声に出すこと。そうすることで、自己肯定感がより高まります。カウンセリングを通じて見たときに、自身の存在がまるで「迷惑」だと感じている日本人が、少なからずいることに驚かされます。

そのような傾向にある人たちにとっても、自分の存在を肯定する第一歩になるでしょう。

慣れないうちは、一人のときに声にすればOK! 別に誰かに対してできなくてもいいんです。

次のステップで、信頼できる家族、親密な関係の人にも大胆に自分を表現してみましょう!

最初は、恐る恐る口にすることになるかもしれませんが、徐々にその「醍醐味」を感じるようになれるはずです。

パントー・フランチェスコ:精神科医

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