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上司と部下が違う方向を向いてしまう根本理由 「部下を動かす」のに夢中な人が知るべきこと

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 9時0分

2015年に嵐のせいで沈没した貨物船「エルファロ」でも、このやり方が行われていた。船長が決定し、それを周囲のメンバーが後から知るというやり方だ。

エルファロは、フロリダのジャクソンビルからプエルトリコの首都サンフアンまでの航海中に、ハリケーンに向かって進んでいって沈没した(こちらの記事参照)。

近代的な無線システムや航行設備を搭載していたが、船に乗っていた33名は、全員命を落とした。

エルファロの船内で実際に何が起きたのかは、事故後、回収されたボイスレコーダーから推測できる。先に述べたように、エルファロは産業革命期のやり方に従っていた。

産業革命期のやり方とは、上司=決める人、部下=実行する人というように役割を分けて、考える仕事と実行する仕事を分断することだ。これをしてしまうと、部下からの多様な意見が出てこなくなる。

よりよい決断を下すには、異なる意見を集めることから始める必要がある。グループ全体の意見、とりわけいちばん上の立場の人間が影響を及ぼすよりも先に、各自に意見を発表する機会を与えるのだ。

1人ひとりの思いを潰さないようにすれば、多種多様な考えが最大限集まる。それを実現させたいなら、議論を始める前に各自にそれぞれ意見を書かせればいい。

意見が集まったら、グループ全体で見直す。その際は、誰の意見かは明らかにしないまま、グループ全体で選択肢を狭め、意見を収束させていく。

こうして生み出された成果は「集団の英知」だ。条件が整っていれば、グループとしての見識は、そのグループに属するどの一個人のそれよりもつねに優る。

行動こそ重要という先入観を捨てよう

エルファロの船長と船員の命運が尽きたのは、過去のやり方に従い、それに伴う言葉を使うことが身体に染みついていたからだ。

彼らは時代遅れのやり方にとらわれて、違うやり方に目を向けることができなかった。

たとえ違うやり方を思い描けたとしても、仕事に就いてから従い続けているパターンから抜け出すことは困難を極めたに違いない。

身体に染みついたパターンを壊そうと試みる(そして失敗する)エルファロの高級船員たちの言葉には、不安が見て取れる。

行動を起こすことは大事だが、思考とのバランスをとる必要がある。会社として、個人として、学習し成長するには、行動と思考の2つの活動のバランスを正しくとることが重要なカギとなる。

何かについて考えようが、何かに関する決断を下そうが、その正否を確かめる行動をとらない限り、学習は生まれない。他者の指示に盲目的に従って行動する場合も同じだ。

行動と思考のバランスをとるのは必須だが、一方で私たちは長きにわたり、行動こそ重要という先入観にとらわれてきた。

これからは、組織のトップだけでなく、どの階級のどのレベルの人も、すべての行動に思考を伴わせるようにする必要がある。

L デビッド マルケ:米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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