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オスカーでの人種差別を米メディアが書かない訳 ロバート・ダウニー・Jr.がアジア系俳優を無視?

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 14時30分

名前を読み上げられたエマ・ストーンがヨーからオスカー像を受け取ろうとすると、ヨーはジェニファー・ローレンスに渡し、ストーンはローレンスからそれを受け取って、ストーンはまずローレンスを、次にその隣にいたサリー・フィールドをハグしたのである。

ヨーには、やはり舞台の上にいたシャーリーズ・セロン、ジェシカ・ラングの後にさっと握手をしただけ。しかも、これらのことは速いスピードで起きたため、テレビを見ている人には、ストーンがヨーの前を通り過ぎてローレンスをハグしたようにしか見えなかった。

すでにダウニー・Jr.についての話題でソーシャルメディアが盛り上がっていたところへ、これを見た人たちからは「エマ・ストーンも同じじゃないか」との疑問が浮上。ヨーもアジア系であるせいで、「白人の中にある無意識の人種差別」説は、より説得力を持つことになってしまったのである。

ミシェル・ヨー自ら誤解を解く

ストーンのため、その方向転換を図ったのは、ほかならぬヨーだ。翌日、ヨーはインスタグラムを更新。ストーンに向けて、「おめでとう。私はあなたを混乱させてしまいました。オスカー像を渡すという輝かしい瞬間を、あなたの親友であるジェニファー・ローレンスと分かち合いたかったのです」と、舞台の上で起きたことは自分の気遣いのせいだったと説明したのだ。おかげで、ストーンに対する批判は、ひとまず落ち着いた。

ここで最初に戻るが、この一連の出来事を、オスカーを徹底取材した「ロサンゼルス・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など主要な新聞、「ヴァラエティ」「デッドライン」「ザ・ラップ」など業界サイトは、まるで取り上げていない。リアルタイムでの報道記事にも、翌日の振り返り記事にもない。

「ハリウッド・リポーター」は、ヨーのインスタグラムについてのみを報道した。テレビでは、エンターテインメント専門のケーブルチャンネル「E!」がソーシャルメディアで起きたダウニー・Jr.に対する批判について取り上げたが、紹介された投稿は彼の「失礼な態度」にフォーカスするもので、「人種差別」という言葉は一切使われていない。

それにはもちろん理由がある。今のアメリカにおいて、「人種差別」は最悪のレッテルだからだ。そう決めつけられることは、キャリア凋落の決定打になりえるほど重大なこと。だからこそヨーは素早くストーンのためにフォローをしたし、主要メディアも簡単にソーシャルメディアの騒ぎに飛び乗ることをしないのである。

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