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欧州委、中国製EVの輸入に「税関登録」開始の焦り 補助金調査の結論待たず、相殺関税賦課に備え

東洋経済オンライン / 2024年3月15日 18時30分

欧州委員会が補助金調査を開始した後も、中国製EVの輸入は増え続けている。写真はジュネーブ国際モーターショーに出展した上海汽車集団のEV(同社ウェブサイトより)

EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は3月5日、加盟国の税関に対して中国製EV(電気自動車)の税関登録を開始するよう指示した。

【写真】欧州委員会のフォンデアライエン委員長(同委員会のウェブサイトより)

この措置は、欧州委員会の調査によって中国製EVが(中国政府から)不当な補助金を受けていると認定された場合に、税関登録時点にさかのぼって相殺関税を課すためのものだ。同委員会は2023年10月4日から、EUに輸入された中国製EVに対する反補助金調査を進めている。

「欧州自動車産業に損害」と主張

中国で製造された9人乗り以下のEVが対象で、調査期間は13カ月以内とされている。その結論が2024年11月初旬までに出ることを見込み、上述の税関登録の実施期間は9カ月間とされた。

欧州委員会は声明で、中国のEVメーカーが中国政府から不当な補助金を得ている「十分な証拠」を確認したと述べた。それにより、中国製EVの価格が人為的に低く抑えられ、EU域内への大量輸出を通じてヨーロッパの自動車産業に損害を与えていると主張する。

EVメーカーに対する中国政府の補助金について、欧州委員会は複数の具体例を挙げている。代表的なのは(地方政府などが地元のEVメーカーに対して)補助金をキャッシュで支給するケースや、土地・設備・サービスなどを合理的な水準を下回るコストで提供するケースなどだ。

そのほかにも法人税の減免や、EVを輸出する際の付加価値税の還付、EVメーカーに対する国有銀行の(事実上の政府保証による)融資および輸出時の信用供与などを、実質的な補助金と見なしている。

遡及的課税の必要性を強調

欧州委員会の調査の結果、不当な補助金によりヨーロッパの自動車産業に損害が生じていると認定された場合、中国製EVはEU域内への輸入時に相殺関税を課されることになる。

しかし調査が始まった後も、中国製EVの輸入は増加し続けている。欧州委員会によれば、(調査開始時点の)2023年10月から2024年1月までの輸入台数は約17万8000台に上り、前年同期比14%増加した。

「ヨーロッパの自動車産業の損害は、調査が終了する前に発生する可能性がある。(看過すれば)この被害を取り戻すことは難しい」。欧州委員会は声明のなかでそう述べ、税関登録を通じた遡及的な課税の必要性を強調した。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月6日

財新 Biz&Tech

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