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「すぐやる」組織がはまりがちな思考停止の罠 実行することばかり重視するチームの危うさ

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 10時0分

だが、反省することなく何度も業務を完遂させていると、次第に、やり遂げても何も感じなくなってしまう。

バリエーションを歓迎する状況では、「開かれた」「好奇心をそそる」「可能性がある」「改善に目を向けた」といった言葉が使われる。

あるいは、「どうすればわかる?」や「どの程度安全なのか?」といった問いかけとなり、好奇心や弱さが言葉に表れる。

誰もが同じことを考えていれば、バリエーションは少ない。

そういう状況は、「意見の一致」という言葉で表されることがある。これは、肯定的な意味で使われるのが一般的だ。

だがこれは、バリエーションがなくなったということでもある。人々の意見が異なるとき、とりわけ反対意見が出るときは、バリエーションが豊富な状況だ。

人はものを考えるときにバリエーションを望まない。多様な意見を歓迎し、意見の一致を避けるべきときでも、リーダーは意見を一致させようとすることが多い。

そうしておきながら、チーム内から新たなアイデアが出てこないのはなぜだろうと首をかしげる。

人はなぜ、バリエーションを減らしたがるのか? 

まず、選択肢が増えれば、そのぶん認知的なハードルが上がるという点があげられる。要は考慮しなければならない要素が増えるのだ。これは大変な作業だ。

人の脳は労力を最小限にとどめるように配線されているので、そうした大変な作業を拒む。買い物客に多すぎる選択肢を提示すれば、その客は何も買わない。

行動モードのときは、意見の多様性は組織の敵になる

だが、それ以上に重要な理由として、バリエーションは、つねに組織の重要事項とされてきた、「行動」の敵になるという点があげられる。

バリエーションが増えることは、思考の際にはメリットになる。逆に、行動の際は、バリエーションを減らすことがメリットになる。

この違いは重要だ。例をあげよう。

●パーツを製造する場合、どのパーツも可能な限り同じでないといけない。製造業にとって、ばらつき(バリエーション)は過失となる。

●潜水艦を動かす乗員は、手順に忠実であることが求められる。手順を勝手に変えるのは違反行為となる。潜水時、「ハッチを閉じる」が先で「潜水する」が次となり、この順序を逆にすると過失となる。

●ファストフード店で出すハンバーガーは、顧客の要望がない限りはどれも同じでないといけない。ファストフード店では標準化が勝つ。

バリエーションを減らす言葉は、結果を重視し、ひとつのことに意識を向けさせようとする。つまり、やり方と手順の厳守を徹底させるということだ。

そのため、「このやり方で実行しろ」や「間違いない」といった言い方になる。

バリエーションを減らすための言葉は、制御と服従を促す。

意思決定(考えること)と実行(行動すること)は種類が異なる仕事であり、バリエーションのとらえ方も正反対になる。

よって、意思決定と実行ではまったく異なる頭の使い方が必要になり、使う言葉の種類も変わる。

あなたも、バリエーションを歓迎すべき時に、それを打ち消すような言い方をしないよう気をつけよう。

L デビッド マルケ:米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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