1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

経団連も動いた、夫婦別姓「第3次訴訟」で新展開 国を12人が提訴「日本以外の国は両立している」

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 7時50分

今回は、別姓で結婚ができることの確認や、必要な法改正をしない国の行為は違法であることの確認などを求めており、別姓で提出した婚姻届の不受理処分の取り消しなどを求めた過去の訴訟と形式は異なる。ただ「(夫婦同姓規定が)憲法違反だという判断を求めていることは変わらない」(寺原弁護士)。

最高裁が判断を変えた事例は少ない。その中で「違憲」判決が下されるかどうかにおいては、学説や社会の変化が判決に反映されるかどうかが重要になる。弁護団によると、2015年以前は夫婦同姓規定が違憲だとの見解は多数説だと明確には言えなかったが、「現在は違憲説が多数説だと憲法の権威ある本でも紹介されるようになった」(寺原弁護士)。

地方議会からの意見書が次々と可決

社会的には、晩婚化や共働き世帯の増加により、結婚前の姓を使用し続ける必要性が高まっている。これを受け、地方議会では、国会や政府に対し選択的夫婦別姓の導入を求める意見書が、次々と可決されている。選択的夫婦別姓・全国陳情アクションによると、地方議会で可決された意見書は、2015年の合憲判決以前は50件だったが、2024年3月時点で380件以上にもなった。

経済界からも要望が強まっている。経団連の十倉雅和会長は2月の定例記者会見で「政府には、女性活躍や多様な働き方を推進する方策の一丁目一番地として、(選択的夫婦別姓制度の)導入を検討してほしい」と述べた。経団連会長が同制度について賛意を示したのは初めてだ。

経団連では、2017年頃からこの問題について内部での検討やヒアリングを実施していたが、政府が旧姓の通称利用を促していたことや、各企業の人事部門には当事者の声が届きにくい状況にあったことなどから、提言に向けた動きにはつながらなかった。

だが「コロナ禍を経て日本企業においても、多様な価値観や考え方を尊重し、全員が能力を発揮できる公正な環境を整えようとする意識が高まった」(経団連ソーシャル・コミュニケーション本部統括主幹の大山みこ氏)ことが後押しとなり、昨年末に正式に検討を開始した。

「(夫婦同姓のみを認める制度は)明らかに課題だというコンセンサスがある。選択肢のある社会にすることは、女性活躍の点だけでなく、イノベーションや新しい価値の創造のために不可欠」(大山氏)。経団連は2024年度上期にも詳細な論点を含めた提言を作成し、政府に提出する予定だ。

なぜ変わらないのか不思議

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください