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中国の空飛ぶクルマ「100km超のデモ飛行」に成功 オートフライト、商用運航の実現へ一歩前進

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 18時0分

空飛ぶクルマは都市間の次世代交通手段として期待を集める。写真はオートフライトによる編隊飛行のデモンストレーション(同社ウェブサイトより)

「空飛ぶクルマ」の開発を手がける中国の峰飛航空科技(オートフライト)は2月27日、5人乗りの機体を使った都市間輸送のデモンストレーション飛行を成功させた。広東省深圳市の蛇口港から(珠江を挟んだ対岸にある)同省珠海市の九州港までの往復100キロメートル超を飛び、自動車なら約3時間の所要時間を約20分に短縮できることを実証した。

【写真】オートフライトとともに深圳市に進出した億航智能(イーハン)の空飛ぶクルマ

eVTOL(電動垂直離着陸機)とも呼ばれる空飛ぶクルマは、電動モーターでプロペラを駆動し、人を乗せて垂直離着陸が可能な飛行機械を意味する。旧来のヘリコプターより騒音が小さく、運用コストも低いとされ、都市間の次世代交通手段として大きな期待を集めている。

ヘリ運航会社が全面サポート

今回のデモ飛行は、深圳に本拠を置くヘリコプター運航会社の東部通用航空の全面サポートを得て実現した。

「空飛ぶクルマという新分野の航空機により、大河を横断する都市間飛行に成功した世界初の事例になった。わが社は航空安全当局や地元政府の支援のもと、飛行ルートの検討や飛行計画の策定にあたった」。東部通用航空は声明文を出し、デモ飛行の成功に胸を張った。

2017年に創業したオートフライトは、中国における空飛ぶクルマ開発のパイオニアの1社だ。当初は離島に物資を空輸する大型ドローン(無人機)の開発に取り組み、2021年から空飛ぶクルマの開発に着手。2023年7月には、空飛ぶクルマ関連の産業集積を目指す深圳市の「低高度空域経済圏」構想に呼応し、同市の宝安区政府と提携の覚書を交わした。

空飛ぶクルマの商用運航を実現するには、航空安全当局から機体の安全性を公的に証明する耐空証明を取得しなければならない。

財新記者の取材によれば、オートフライトが今回のデモ飛行に使用した機体は、すでに中国民用航空局と欧州航空安全機関に対して耐空証明の申請書を提出済みだ。しかし審査結果はまだ出ていない。

そんななかデモ飛行が許可されたのは、空飛ぶクルマの経済効果に期待する関係当局の後押しがあったからにほかならない。

深圳市、産業育成に強い意欲

例えば深圳市政府は2023年7月、一定の条件を満たした空飛ぶクルマの関連企業が同市に進出した場合、最大2000万元(約4億1786万円)の補助金支給を含む手厚いサポートを提供する政策を発表。企業誘致と産業育成に強い意欲を見せている。

また、東部通用航空は広東省と香港・マカオを結ぶ越境ヘリコプター航路の先行テスト企業として、(中央政府機関である)中国民用航空局の指定を受けている。今回、オートフライトがデモ飛行した都市間ルートは、東部通用航空がすでにヘリコプター航路として認可を得たものだった。

「将来はオートフライトの空飛ぶクルマを100機購入し、珠江デルタをカバーする都市間航路に投入したい」。東部通用航空はそう意気込む。

(財新記者:方祖望)
※原文の配信は2月28日

財新 Biz&Tech

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