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利益4兆円超えのトヨタ自動車 "王座維持"のカギ 北米HV、東南アジアEV… 最新リポート【前編】

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 7時0分

トヨタは北米でハイブリッド車のラインナップを拡充する(写真はクラウン シグニア/トヨタ自動車)

今期の純利益計画は過去最高の4.5兆円と絶好調のトヨタ自動車。だが、競争力の源泉であるグループ各社で不正が相次いでいる。試練を乗り越え成長を持続できるのか。『週刊東洋経済』3月23日号の第1特集は「絶頂トヨタの試練」だ。

トヨタ自動車の業績は足元で絶好調が続く。

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2024年3月期第3四半期(4〜12月期末)決算は純利益が過去最高の3兆9472億円を記録。通期ではトヨタ・レクサスブランドの世界販売台数は1040万台、売上高に当たる営業収益が43兆5000億円、純利益が4兆5000億円といずれも過去最高を見込む。

ここ数年苦しめられてきた半導体不足など生産制約が解消。前期に比べて日本や北米、ヨーロッパで販売台数が大きく伸び、円安メリットも大いに享受している。

加えてトヨタが「営業の努力」と呼ぶ、稼ぐ力が着実に向上していることも大きい。ガソリン車と利益率で伍するHV(ハイブリッド車)の台数が伸長。売れ筋のスポーツ用多目的車(SUV)も好調だ。さらに車両価格の値上げにより、各車種の収益性が大幅に向上し、利益を押し上げている。

不正のマイナス影響をはね返す

その実力がとくに発揮されたのが北米だ。

2023年3月期第3四半期累計では890億円の営業損失だったが、今期は5165億円の営業黒字へと一気に浮上。宮崎洋一副社長は「在庫回転率を上げ、丁寧に販売することでインセンティブ(販売奨励金)を使わずに車の販売ができている」と評価する。

一連の営業面でのプラス要素は、2023年4〜12月の9カ月間で前年同期比1兆9900億円の営業利益押し上げ要因になった。通期見通しではダイハツ工業や豊田自動織機の不正に起因する工場停止影響が国内で出るものの、そうしたマイナス影響をはね返す見込みだ。

営業利益率で見てもトヨタは11.6%(2023年4〜12月期)と2桁をたたき出し、独フォルクスワーゲン(VW)やホンダ(いずれも7%)といった競合に加え、高収益とされてきたEVメーカー・米テスラ(9%)をも上回る。

トヨタは豊田章男現会長が社長就任後の2010年代、「もっといいクルマづくり」を掲げて、新型車の収益改善に着手した。

代表的な取り組みが「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」と呼ぶ車造り手法の導入だ。プラットフォーム(車台)を集約し、複数車種で部品を共通化。開発効率を高めるとともに、スケールメリットを生み出し、造れば造るほど採算が高まる。

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