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中国新興EV「理想汽車」、通期で初の黒字化を達成 2023年の販売37万6000台、24年は80万台目指す

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 14時0分

理想汽車は中国の新興EVメーカー群のなかで通期黒字化に一番乗りを果たした。写真は主力のレンジエクステンダー型EV(同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(リ・オート)は2月26日、2023年の通期決算を発表。最終利益として118億1000万元(約2471億円)を計上し、創業以来初の通期黒字を達成した。同社の2023年の販売台数は37万6000台、通期売上高は1238億5000万元(約2兆5909億円)だった。

【写真】理想汽車が初の純EVとして3月1日に発売した高級ミニバン「MEGA」(同社ウェブサイトより)

2015年に創業した理想汽車は、ライバルの蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(シャオペン)とともに中国の新興EVメーカー群の「トップスリー」と呼ばれてきた。蔚来汽車と小鵬汽車が車載電池のみで走行する「純EV」で先行したのに対し、理想汽車は航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載した「レンジエクステンダー型EV」に注力する戦略をとった。

(訳注:レンジエクステンダー型EVは、中国の販売統計ではプラグインハイブリッド車[PHV]に分類される)

レンジエクステンダー型に追い風

レンジエクステンダー型EVは車載電池の搭載量が(純EVよりも)少なく、販売価格を割安にできると同時に、EVとほとんど変わらないドライビング体験をユーザーに提供できる。さらに、電池が残り少なくなってもガソリンを給油すれば走り続けられるため、(純EVに付き物の)電池切れの不安がない。

こうしたメリットが消費者に認知され、レンジエクステンダー型EVの販売はPHVとともに2022年から急速に伸びている。その追い風を受けた理想汽車は、前述のトップスリーのなかで通期黒字化の一番乗りを果たした。決算報告書によれば、同社には2023年12月末時点で1036億7000万元(約2兆1687億円)の手元資金があり、財務状況にも余裕がある。

とはいえ、理想汽車の経営の正念場はむしろこれからだ。「2024年は過去に例のない新型車ラッシュの1年になる」。同社の創業者でCEO(最高経営責任者)を務める李想氏は、決算説明会でそう宣言した。

理想汽車の計画では、まず3月1日に同社初の純EVとなる高級ミニバン「MEGA」を発売。と同時に、既存の3車種のレンジエクステンダー型EVに年次改良を施し、2024年モデルとして投入する。

さらに、新型のレンジエクステンダー型EVを1車種と純EV3車種を相次いで発売し、2024年の販売台数を(2023年の2倍を超える)80万台に引き上げる野心的な目標を掲げている。

純EV参入で利益圧迫の懸念も

だが、理想汽車を待ち受ける市場環境は過酷だ。中国の自動車市場は2023年から激しい価格競争に突入し、2024年に入ってますますエスカレートしている。なかでも純EVは競合車種が(レンジエクステンダー型EVに比べて)段違いに多く、後発の理想汽車にとっては(対抗値下げが不可避なことによる)収益の圧迫要因になりかねない。

そんな懸念に対して、理想汽車のCFO(最高財務責任者)を務める李鉄氏は「わが社の純EVはレンジエクステンダー型EVと同水準の25%前後の粗利率を確保できる」と、決算説明会で楽観的な見通しを語った。

その根拠について李鉄氏は、車載電池の原材料(であるリチウムなど)の価格が大幅に値下がりしていることを挙げ、「理想汽車にとって絶妙なタイミングで純EVに参入できる形になった」と自信を見せた。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2月27日

財新 Biz&Tech

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