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セブン、「400円以下」弁当の拡充が意味する課題 客数の戻りが緩慢、「フェア」依存にも限界

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 7時10分

セブンーイレブン・ジャパンが低価格弁当の強化に乗り出している(写真:セブンーイレブン・ジャパン)

コンビニ最大手セブン-イレブン・ジャパンが、400円以下の弁当類の強化を急いでいる。

【グラフ・写真】コンビニ3社の中でセブンの回復が鈍化している。400円以下の弁当は「うれしい値」や「安心価格」といった店内表示で、消費者の認知向上を図る

コンビニの主力商品の1つであるチルド弁当。セブンの店頭をのぞくと、その品ぞろえに変化のあることに気づく。以前は税込み500円以上の商品がほとんどを占めていたが、直近では「バターチキンカレー」「麻婆丼」「五目チャーハン」など、370円(税込み399円)の弁当の存在感が高まっている。

セブンでは商品の価格帯を「松・竹・梅」の3つに分類している。チルド弁当の例でいえば、600円以上の商品を「松」、401円~559円を「竹」、400円以下を「梅」とする。関東の一部地域における各価格帯のチルド弁当の商品数は、2023年2月下旬で7:9:3だったが、今年3月には4:9:5に変わっている。

客数はコロナ前の水準に戻っていない

400円以下の「梅」の商品を増やす背景には、消費者の根強い節約志向がある。

賃上げが叫ばれる中、物価動向を考慮した実質賃金は今年1月まで22カ月連続でマイナスが続く。統計上では、賃金上昇が物価高に追いついていないのだ。そうなれば、消費者の財布のヒモは当然堅くなる。セブン-イレブン・ジャパンの青山誠一商品本部長は、「足元の物価高で経済性を求める消費者が増えている」と語る。

消費者の節約志向は、コンビニ大手3社の動向にも現れ始めている。下のグラフを見てほしい。

このグラフはコロナ禍直前の2020年2月期(2019年3月~2020年2月)の各月を1とした、2022年3月~2024年2月の2年間におけるコンビニ大手3社の既存店客数の推移(回復率)だ。3社とも概ね右肩あがりではあるものの、いまだ1を下回っており、コロナ前水準まで回復していない。

客数は各チェーンに対する消費者の支持の表れであり、人気のバロメーターといえる。節約志向が高まれば、低価格業態にお客は流れる。コンビニはスーパーやドラッグストアに比べて特売品が少なく、価格帯の高いイメージがある。それがコンビニの客離れにつながっている可能性がある。

グラフからもう1つ読み取れるのが、コンビニ3社の中でセブンの回復が鈍化していることだ。2022年度はファミリーマートとセブンの回復率に大きな差は見られなかった。しかし2023年度に入るとセブンは横ばいが続き、ほとんどの月でファミマを下回った。2023年秋以降は、ローソンを下回ることも多くなっている。

「フェア」の下支えにも限界

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