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裏金事件「政倫審」で幕引きという思惑が大外れ 下村氏は関与否定"裏金議員処分"の行方も不透明

東洋経済オンライン / 2024年3月20日 7時50分

下村氏への質疑で最大の焦点だったのは安倍派での「キックバック復活」の経緯。2024年4月に、安倍派会長時代の安倍晋三元首相が招集した幹部会合で、安倍氏が示した「現金でのキックバック中止」の方針を下村氏ら幹部が了承したにも関わらず、安倍氏死去後の同年8月以降に復活した経緯とその真相だった。しかも、これまで政倫審で説明した安倍派5幹部の間で説明が食い違っていたこともあり、2回の会合に出席していた下村氏の証言が注目されていた。

「ある人」が誰だったか記憶にないー下村氏

下村氏は弁明で「キックバックの是非」を巡る2回目となった8月5日の会合について、「今後の清和研の運営の仕方や、安倍さんの葬儀についての話が中心だったが、会合でも還付はやめるというのが前提だった」としたうえで「(ノルマ超過分を)戻してもらいたい人にどんな方法が取れるのかということで、個人でパーティーをした時に派閥が購入するというふうな方法があるのではないかと『ある人』が言った」と語った。

ただ、この「ある人」が誰かと詰問されると「だれが最初に言ったのかは覚えていない」と、他の出席者と口裏を合わせるように明言を避けた。さらに、「キックバックの復活は8月5日より後の会合で決まったはず。私はその会合には出ていないので、どこで決まったか、まったく分からない」と繰り返した。

こうした「知らぬ存ぜぬ」の下村発言は、それまでの安倍派幹部の「すべては歴代会長と事務局長が決めたことで、我々は全く関与していなかった」との弁明に沿った内容。それだけに野党側だけでなく与党内からも「歴代会長でただ一人存命な森氏に聞くしかない」(自民若手)との声が相次ぎ、野党側も「証人喚問も含めた森氏の国会招致」(立憲民主国対)の早期実現を強く要求する方針だ。

そもそも森氏は首相在任中を除いて1998年から2006年にかけて清和研会長を務めていた。裏金事件に関する自民の聞き取り調査の報告書にも、政治資金収支報告書への組織的な不記載が始まった時期を「遅くとも十数年前、場合によっては20年以上前」と書かれている。同派座長の塩谷立元文科相も3月1日の衆院政倫審で「二十数年前から始まったのではないかと思う」と説明した。

ただ、同氏を含め、衆参の政倫審に出席した塩谷立元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国会対策委員長、世耕弘成前参院幹事長の6氏はそろって「森氏が関与していたという話は聞いたことがない」(西村氏)などと弁明。岸田首相も3月6日の参院予算委で「具体的に森元総理の関与を指摘するような証言は確認されていない」と答弁していた。

「裏金議員」80人超の処分の行方も不透明

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