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「小田急の顔」ロマンスカー乗務員に必要な条件 運転士・車掌の経験3年、さらに訓練、試験、研修

東洋経済オンライン / 2024年3月21日 6時30分

ベテラン乗務員でも2年ごとに任用試験を受ける必要がある。

2023年12月時点で小田急の運転士総数は476人、車掌総数439人、乗務助役101人(運転士と車掌の合計)。このうち、ロマンスカー担当者は運転士234人、車掌182人となっている。

2024年3月上旬のある日、神奈川県海老名市にある海老名本社の会議室に喜多見、大野、海老名、足柄の4つの乗務所から、普段は一般車両に乗務する13人が集まった。1~2月に実施した技能確認試験に合格した運転士・車掌たちだ。この日開催したのは「新人ロマンスカークルー研修」。1日かけて乗客とのコミュニケーション力に磨きをかける。

冒頭、運転車両部の山﨑直課長は「ロマンスカーは会社の顔ではあるが、『車両がカッコいいから、展望席があるから』という理由ではなく、クルーの個性があるからこそほかの有料特急とは違うと自信を持っている。ぜひ自分らしさを出してほしい」と呼びかけた。

乗客からはさまざまな要望

講師は社員研修などを手がける「オンリーワン」(東京都武蔵野市)のスタッフが務める。言葉づかいや姿勢に関してレクチャーするほか、ロールプレイングでは乗客役を演じる。各参加者は「箱根まではどのくらい時間がかかるのかしら?」「(子どもの設定で)どうやったら運転士になれるの?」「一緒に写真に撮ってもらえる?」といった実際にありうる質問・要望への対応を演習した。

研修を担当する運転車両部の菅井利一さんは「ロマンスカーはお客さまと接する時間や頻度が一般車両とは違う。接遇スキルを学んでステップアップし、新人ロマンスカー担当者として楽しんで乗務してもらいたい」と狙いを説明する。同部の新井友章さんも「コロナ禍でお客さまと接する機会が少なかったので、研修を通して自信を持ってもらいたい」と話す。

研修では「お叱りのお客さま」を想定し「ロマンスカークルーとして快適な移動時間を提供するため、どのような対応をしますか?」という課題も。例えば以下のような事例だ。

「車内巡回中、グループのお客さまが大きな声で騒いでいるのを『注意してほしい』と同じ号車に座っているお客さまから申告されました。グループのお客さまに声をかけたところ、その場は静かになったが、また大きな声で騒いでいるところを目撃しました。先ほど注意してほしいと申告されたお客さまは、見るからに不機嫌な表情をしていたため、別の号車に席を移動できますと提案したところ、『なんで自分が移動しなければならないのか?』とお叱りをいただきました」

「最初にぶつかる壁」

特急列車の車内は、仲間同士でにぎやかに楽しみたいグループ客がいれば、静かに過ごしたいビジネス客もいる。新井さんは「1つの車内で異なるニーズが存在する、というのは車掌が最初にぶつかる壁」と指摘する。菅井さんは「正解が1つに決まっているわけでない。研修では、どんなことができるか、みんなで考えることで視点を広げてほしい」と話す。

2024年4月には、運転士25人、車掌38人の新人ロマンスカークルーが誕生する。今後は日々の乗務を通じて接客スキルを磨き、それぞれが「小田急の顔の顔」を担っていくことになる。

橋村 季真:東洋経済 記者

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