ブラザー工業が「対抗TOB」で狙う三度目の正直 ローランドDGが実施のMBOに「待った」をかける
東洋経済オンライン / 2024年3月21日 7時0分
投資ファンドと組んだMBO(経営陣が参加する買収)に、「待った」をかけたのは協業関係にあった事業会社だった――。投資ファンドに普通の事業会社が噛みつくという構図の異例の事態が起きている。
【経緯がわかる】ブラザー工業はローランドDGにTOB提案を過去に2度拒否された
ミシンで知られるブラザー工業は3月13日、産業用印刷中堅のローランド ディー. ジー.(DG)に対抗TOB(株式公開買い付け)を行う予定であると発表した。
ローランドDGに対しては、2月13日から3月27日までの期間で、タイヨウ・パシフィック・パートナーズによるTOBが行われている。タイヨウはアメリカの投資ファンドでローランドDGの大株主。ローランドDGのMBOの一環としてTOBが実施されている。TOB価格は1株あたり5035円だ。
一方のブラザーは5200円のTOB価格を提示した。タイヨウによるTOBが継続中もしくは不成立であることを条件に、5月中旬をメドに開始する。買収総額は640億円の見込み。これは2015年に買収したイギリスの産業印刷機メーカーの約10.5億ポンド(当時の為替レートで約1930億円)に次ぐ金額規模となる。
注力分野の1つが産業印刷機
ブラザーの売り上げ規模は8000億円超。世界的なミシンメーカーとして知られる同社だが事業領域は幅広い。
売り上げの過半を占めるのは家庭用インクジェットプリンターを中心とするプリンター関連で、ほかに産業印刷機、工作機械、通信カラオケの「ジョイサウンド」なども手がける。この中で近年注力しているのが産業印刷機と工作機械だ。
その産業印刷の分野で、広告看板向けの大型インクジェットプリンターに強みを持つのがローランドDG。布に印刷するガーメントプリンターや歯科用ミリングマシンなども手がけており、2023年12月期の売上高は540億円だった。
ブラザーはTOBの意義について、両社の資産共有によるローランドDGの競争力強化を第一に掲げる。開発にブラザーのインクジェット技術を活用、共同購買を通じた製造コストの削減が期待できるなど、同じ印刷業界だからこそ可能な価値向上施策を実施できるとする。
ブラザーにとっては産業印刷の強化にもつながる。ペーパーレス化が逆風といえるオフィスや家庭用のプリンターとは異なり、新興国で工業製品の消費が増えることなどによる市場の拡大が見込める。ブラザーの事業ポートフォリオ的には、産業印刷領域の拡大は望ましい。
2度拒否されたTOB提案
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