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経営の判断ミスが現場のせいにされる根本理由 そのミスは本当にすべて現場に起因するのか

東洋経済オンライン / 2024年3月22日 10時30分

1、そもそも嵐にさらされる直進ルートをとるかどうか

2、進路変更が可能なラムケイ地点で進路を変えるかどうか

そして実行レベルの仕事(赤ワーク)には、ハリケーンのせいで荒れる海のなかで動力装置に潤滑油を送るシステムを操作する、積荷を守る、船体に生じた荒波の影響に対処する、といったことが含まれていた。

もちろん、船員たちが実行(赤ワーク)の部分でミスを犯した可能性はある。

とはいえ言ってしまえば、この貨物船の運命は、最初に下された決断によって定められたも同然だ。

彼らの結末は、「どれだけうまく航海できるか」ではなく、そもそも「直進ルートを進み続けるかどうか」にかかっていたのだから。

エルファロの船長は最初から嵐にさらされる直進ルートをとると宣言している。

これは言わば、OWSで一度だけブイを見て泳ぎ出し、その後二度とブイを見ないと言っているのと同じだ。

組織、それも発電所や病院、製造工場など、工程が非常に重視される組織では特に、赤ワークで起きるミスばかりが注目され、青ワークでのミスはあまり問題視されない傾向が見受けられる。

さらに深刻なことに、赤ワークと青ワークの構造的なバランスの悪さが気にもとめられていない。

なぜそうなるかというと、赤ワークの実作業上のミスはすぐに明らかになるからだ。

●機長が自動操縦機器の操作を誤る

●患者に間違った薬が投与される

●発電所の操作員が切るべきブレーカーを間違う

こういった事態が起きたときは、ミスが起きたとすぐわかる。

トラックが故障した。悪いのは運転手か?

一方、判断や意思決定における間違いは明らかになりづらく、評価するのも難しい。

エルファロの船員は、船が沈む間際になるまで、航海の初期に嵐にさらされる直進ルートをとったことが間違いだったという確信を持てなかった。

これはどんなビジネスでも同じだ。

例えばトラック運送会社では、管理職(青ワーカー)が積載量、時間、場所に関する決断を下す。

トラックのメンテナンスについても管理職(青ワーカー)が決める。

トラック運転手(赤ワーカー)は、事前に決められたルートを走り、事前に決められた場所から事前に決められた荷を積んで運ぶだけの仕事に追いやられる。

これぞ、青ワークを青ワーカーに、赤ワークを赤ワーカーに分断して割り当てる典型だ。

では、トラックが道路で故障したらどうなるか?

責めを負うのは運転手だ。故障は運転中に起きるものだが、原因を突き詰めると、トラックのメンテナンス計画の不備や積載量の決め方に問題があった可能性が高い。

次にあなたの会社で問題が起きたときは、こんなふうに考えてみてほしい。それは単に実作業上の問題なのか、それとも過去(おそらくはそれなりに時間がたっている過去)に、その問題が生じやすくなるような決断があったのではないかと。

L デビッド マルケ:米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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