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「適切にもほどがある」若者が入社後に泣いたワケ ビジネスには「ビジネスの適切な価値観」がある

東洋経済オンライン / 2024年3月22日 6時50分

この若者は本当に適切だった。まさに「適切にもほどがある」ぐらい、そつがない言動をした。しかし、適切だったのは「入社前までの世界」だけだったとも言えた。

人の顔色をうかがい、うまく立ち回ることができても、それだけで仕事がこなせるほど甘い世界ではない。特に任されたプロジェクトは、その色が強かった。新しい事業を起ち上げるには、まるく収める必要がないときもあるのだ。

覚悟をもって発言し、信念を貫くことも重要だ。若いからこそ、チャレンジングな感性も求められた。それがストレスだったのかもしれない。

「七転八倒の経験」が人を強くする

社会人になるまではバランスが取れていたからといって、社会に出てからも同じようにバランスよくやっていけるかというと、そうとも限らない。

いきなり一輪車に乗って、すぐにピタリとバランスが取れるようにできる人は稀だろう。しばらくは七転八倒するに違いないのだ。たとえできたとしても、その姿勢をずっと保つのは難しい。環境が変化することで、再び転ぶことはある。

『不適切にもほどがある!』の主人公も、多少のことがあっても心が折れたりはしない。さんざんバランスを崩して転んだせいで、転ぶことに慣れ、そのうちにストレス耐性がアップしたからではないか。

だからこの若者の心はビックリしてしまったのかもしれない。今までは「適切にもほどがある」言動をとれていたがゆえに、転ぶことに慣れていなかったからだろう。

さて、この若者はその後どうなったか。後日談を書いて終わろう。

この若者は復帰してから営業企画部に異動して、元気に仕事をしているという。展示会やウェビナーなど、イベント企画に関わっているそうだ。新規事業の起ち上げという不確実性の高い仕事よりも、適切に仕事をすれば、それなりにリターンが見込める仕事のほうが合っている。前の上司がそう判断したようだ。

「自信がついたら、また新事業プロジェクトに戻りたいです」

本人はこう発言しているという。今後はレジリエンス(回復力・復元力)が身についたら、きっと「適切にもほどがある」営業になってくれるに違いない。

横山 信弘:経営コラムニスト

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