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永住者が大困惑、語られない「入管法改正」の中身 実習制度の改善の裏で起きていること

東洋経済オンライン / 2024年3月22日 13時40分

それにもかかわらず、なぜ、特に税金未納に対して永住権を取り消すという人生を揺るがすような罰を加えられるのだろうか。自民党の85人の党員が寄付金を申告せずに長年税務当局を騙してきたことで、彼らは何の制裁も受けていない。同じことに対して永住者の待遇を取り消すことは非倫理的ではないだろうか。

この改正案が可決された場合、たとえば、退職したり、納税申告をする際に間違ってしまったりする社会的弱者や高齢者が大きな影響を受ける可能性がある。

歴史的なマクリーン判決(1978年)で決定されたように、永住者は法務省が認めた限りの権利のみを有する。2021年に名古屋入管に収容されていたウィシュマ・サンダマリさんが収容中に死亡したように、法務局が永住者が生きるか死ぬかの決定権を持っているのだ。

永住へのハードルは高くなる一方で、申請に対する受け入れ率は2016年まで約70%に推移していたのが、現在は約55%に減っている。帰化に関しては、2017年の1万315人から2022年の7059人へと減少している。

一般的に考えれば、永住権を取り消すことは、それを取得する困難さと一致するべきである。婚姻による以外は、永住者になるためには非常に長い期間と労力を要する。

現在、永住権を申請するには、10年以上日本に在留していると同時に、そのうち5年以上、就労資格・居住資格を持っていることが条件となる。信じられないことに、これは帰化のための居住要件(5年)よりずっと長いのだ。当然、その間の素行は良好でなければならない。

「永住権取得はあきらめた」という外国人経営者

条件だけ見るとハードルは高くないように見えるが、日本の一流企業の役員で、日本で15年以上働いている外国人経営者は、永住権を取得するのがいかに大変だったかをこう振り返る。「永住権の申請にはとても時間がかかったので、5年ビザの更新も同時に申請した。そうしないと、オーバーステイになって日本から追い出される危険性があった」。

「私は日本人の妻と結婚して25年になるが、配偶者ビザを取得するために、25年に及ぶ結婚生活を綴った長いエッセイを書かなければならなかった」と、外資系企業を経営する別の外国人経営者は話す。

「2回目の申請でも、1年間の配偶者ビザしか取れなかった。3度目は5年間のビザを取得できた。妻にも収入があるのに、入国管理局は、1年以上のビザを取得するために私の収入を確認するよう求めてきたが、なぜ夫が妻と暮らすための長期ビザを取得するために収入を正当化しなければならないのだろうか」。彼は入管での手続きの面倒さと不合理さに辟易して、永住権の取得を完全にあきらめた。

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