北欧のEV「ボルボEX30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ
東洋経済オンライン / 2024年3月23日 13時0分
最初に公道で乗ったのは、シングルモーター・エクステンデッドレンジのほう。69kWhの駆動用バッテリーを持ち、200kWのリアモーターで後輪を駆動する仕様。日本にまず導入されたのも、この仕様だ。
そのあと、ツインモーター・パフォーマンスに乗り換えた。バッテリー容量は同じだけれど、前後にモーターを搭載した全輪駆動車で、トータル出力は315kW。静止から時速100kmまでの加速(0-100km/h加速)は、3.6秒というスーパーカー並の速さを持つ(シングルモーターの5.3秒も十分速いが)。
このツインモーター仕様は日本未導入で、私にとっても初めてのドライビング体験だ。そもそも雪道でのEX30試乗自体が未体験だったので、試乗前からかなり気分は盛り上がっていた。
冬のスウェーデン北部というと雪深いイメージがあるが、雪は予想していたほど多くなかった。ハイウェイは除雪されているし、カントリーロードもところどころ、日当たりのいい場所では路面が乾いている。
とはいえ、幹線道路から外れると、道は基本的に雪と氷で覆われている。もっとも滑りやすい氷から、ややグリップのよい硬めの雪、ふかふかした新雪もあれば、水たまりも……というぐあい。さまざまな摩擦係数のパッチワークだ。
感心したのは、路面の影響を受けず走れたこと。思い出したのは、40年くらい前に後輪駆動の700シリーズで冬のスウェーデンを走ったときのこと。このときは雪も多く、車両の挙動が不安定になりがちで、かなり緊張したものだった。
「クルマは、どんな路面状況でも同じようなハンドリングを持つことが重要であると考えています。ドライバーの入力(ハンドルを動かしたり、加速や減速をしたりすること)に素直に反応することと、(滑り始めるなど)なにかあっても、車両の動きが唐突でなく予測可能であることが、ドライバーに自信と安心感を与えるのです」
前出のエクストロム氏はそう説明してくれたが、実際にその言葉どおりで、ミシュランの「X-ICE NORTH4」というスタッド(鋲うち)のスノータイヤとのコンビネーションは抜群。200km以上にわたり冬のスウェーデンをEX30でドライブして、焦った場面は一度もなかった。
それに、ハンドリングが「スノータイヤの影響を受けている」と感じることも少なく、切ったときにぐにゃりとして反応が遅くなるように思えた場面もなかったのには感心した。
安定感のシングルモーター、よく曲がるツインモーター
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