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「事実無根の噂を平気で流す人」が許容される理由 他人の不祥事が面白おかしく語られることに快感

東洋経済オンライン / 2024年3月31日 15時0分

ただ、このような社内の反応は結果的にお局社員のふるまいを許容することになっている。その点で、この会社では社員の多くが知らず知らずのうちに「イネイブラー(enabler)」になっていると考えられる。

「イネイブラー」とは、依存症患者の周囲にいて、薬物やアルコールを購入するお金を与えたり、不始末の尻ぬぐいをしたりする人物を指す。結果的に悪癖を容認し、場合によっては助長してしまうことが少なくない。

この会社の社員の多くも、お局社員が流した根も葉もない噂を信じ、さらに拡散したという点では、彼女の悪癖を容認し、助長する「イネイブラー」になっている。その根底には、他人の不幸や不祥事が面白おかしく語られると、それに快感を覚えるという人間の残酷な一面が潜んでいるのではないか。

他人との比較でしか自分の幸福を実感できない人

他人の不幸にまつわる話に嬉々として飛びつき、面白がる人がいかに多いかということだ。「他人の不幸は蜜の味」という言葉はまさに真実だと痛感した。

その心理を分析すると、何よりも大きいのは「あの人よりはマシ」と思えることだろう。他人との比較でしか自分の幸福を実感できない人ほど、他人の不幸や不祥事に飛びつくように見えるが、これは自分より“下”の人の話が喉から手が出るほどほしいからだろう。裏返せば、「あの人よりはマシ」と思える相手がいなければ心の平穏を保てないわけで、常にそういう対象を探し求めているともいえる。

こういう人はどこにでもいて、すぐに「イネイブラー」になる。そして、「イネイブラー」が多いほど、噂は簡単に広まる。しかも、その真偽など誰も気にせず、ただ面白ければいいという理由で拡散する。その結果、噂を言いふらされた人が心身に不調をきたしたり、出勤できなくなったりする事態を招くこともありうる。もっとも、そういう不幸をむしろ面白がって見ている人さえいる。

片田 珠美:精神科医

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