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シニアの長期投資は「ネットより対面」薦める根拠 安い手数料が思わぬ弊害につながる危険性も

東洋経済オンライン / 2024年4月1日 6時50分

対面証券は、担当者を通して顧客に様々な提案などしながらサービスを行なっているので、人件費や店舗の維持にコストがかかる。そのためすべて機械任せのネット証券に比べ手数料が高くなるのは仕方がない。

注文の内容や金額にもよるが、1回あたり1000円から数万円の手数料がかかる。そのため、顧客にとっては投資で利益を出すうえで手数料が負担となる。

もう一つのデメリットとして、注文の執行まで時間がかかることだ。

株価は刻一刻と変化しており、1秒のあいだにものすごい数の注文が執行されている。店頭の株価ボードやパソコン画面で株価を確認したとしても、いざ発注を行なうときにはもう株価が大きく変動していることがある。

意図した価格で売ることができずに売りそびれたり、意図しない高い価格で買い付けてしまったというケースも聞く。

長期の投資では"秒単位の損得"は無縁の世界

しかし心配は無用だ。長期の投資家は年間の配当利回りの高さや、長期的な値上がり益を目標にしている。

電話の注文でも1~2分で取引が終了するので、注文した価格水準と実際に購入できた価格の差が大きくかい離していたということはあまりない。

1秒単位で「損した、儲けた」といった話は、別の世界の出来事だ。

ネット証券には多くのメリットがある。

そのなかでも最大のものは手数料の安さだ。ネット証券は、実店舗がなく店頭スタッフもいないため、対面証券に比べ運営コストがそれほどかからない。

そのため手数料が非常に安く設定され、1回の注文当たり数十円程度の手数料から取引が可能である。なかには、手数料が無料の証券会社もある。

ネット証券では各種情報へのアクセスが速いのも"売り"だ。

パソコンの画面をクリックするだけで、株価や市況のニュースなどがリアルタイムで映し出される。注文の執行でも、パソコンの画面上でリアルタイムに確認できる。安さと速さ、これがネット証券の強みである。

しかし、対面証券でもこうしたネット取引の併用が可能だから、ネット証券のメリットも得られる。

対面取引のきめ細かな助言やサービスとネット証券のスピード取引の両方のメリットを享受することができる。

割高な手数料は、質の高い助言で取り戻せる

手数料はたしかにネット証券に比べて割高だが、年にせいぜい数回しか取引しないのだから無視できる。

そして取引手数料が割高な部分は、営業担当者からの質の高い投資助言による高い投資パフォーマンスで取り戻せばよいだけの話だ。

対面証券の営業担当者は、こちらが頻繁に売買する気がないとはっきり伝えてもしつこく電話をかけてくることがあるが、ネット証券ではそうした煩わしさをシャットアウトすることができる。

ただし長期投資を推奨する立場から言えば、ネット証券の手数料の安さが魅力的に感じているとすれば、それは投資家から投機家へと変身しつつある前兆だ。

警戒信号だと受けとめるべきだ。

川島 睦保:フリージャーナリスト、翻訳家

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