我が子にどう教える?「投資」と「リスク」の考え方 「漫画版 おカネの教室」を通して親子で考える
東洋経済オンライン / 2024年4月1日 11時30分
元日経新聞編集委員の高井宏章さん。高井さんが娘のために書いた『おカネの教室』では、世の中を動かすお金と経済の仕組みの本質をわかりやすく解説しています。今回は『漫画版 おカネの教室』を一部抜粋・再構成し、子どもと考える、投資とリスクについて解説します。
みなさんは、どうすればお金が儲けられると思いますか?
資産形成や投資において、よく言われるのは、「フリーランチ(タダ飯)はない」という鉄則ですね。何かを手に入れるために、相応の対価が必要なのは当たり前な話でしょう。しかし、つい「うまい話」に乗ってしまい、痛い目に遭う人もいます。こうした話は、古今東西あふれています。
投資はリスクがつきもの
日々の暮らしのなかでは、家族や友人がタダで美味しいものをご馳走してくれることもあります。でも金融・投資は、それなりの負担が絶対に必要です。投資で「美味しいモノ」はリターン、つまり儲かることです。そして支払うべき対価がリスクです。
リスク無くして、リターン無し。
これは絶対の鉄則です。絶対、忘れないでください。もし「元本保証で、必ず10%儲かる」という話があったら、それは詐欺です。
では、どうすればお金を儲けられるのか? これについて、拙著『漫画版 おカネの教室』ではこのように説明しています。
※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
お金をうまく稼げていそうな地主であっても、リスクを取っている、という話でした。
ここで投資に馴染みのない方に注意してほしいのは、リスクの意味合いです。
普段の会話で「リスクがある」と聞くと、危ない、危険性があるという印象を抱くでしょう。できれば避けたほうがよい、ネガティブなイメージがあります。
しかし、投資の世界では、リスクは「価格変動の大きさ」で捉えます。株式のように、大きく値上がりすることもあれば、値下がりすることもある資産はリスクが高い。株式に比べれば、債券は値動きが小さいので、リスクが低い。通常のリスクという言葉よりも、もっとニュートラルな印象です。
値動きが大きいからこそ、高いリターンをもたらしうる。逆に値動きが小さい資産は、アップサイドも限定される。だから「リスク無くして、リターン無し」の関係が強固に成り立つわけです。
損をする可能性も当然ある
だからといって、闇雲にリスクをとれば高いリターンが約束されるわけではありません。未来は誰にもわからないから、損をする可能性も当然あります。
そんな不確かな未来に向かって、投資家はリスクを引き受ける。そのリスクマネーが「見えざる手」を介して経済に流れ込み、富を生む手助けをする。失敗すれば痛手を被る可能性を受け入れるからこそ、投資家は成功したときに大きな果実を得る。
投資で儲けることを「不労所得」と呼ぶことがあります。確かに投資は、体を動かし、汗水をたらしながら稼ぐものではありません。しかし、その代わりに、リスクを引き受け、時には冷や汗たらたら、という場面に耐えなければいけない。やはり、渡る世間にフリーランチはないのです。
高井 宏章:経済コラムニスト
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