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「システム大移動」遅れ続出、自治体の本音と悲鳴 「コストは膨張」「クラウド実質選べない」現実も

東洋経済オンライン / 2024年4月2日 7時50分

――自治体のシステムをめぐっては、仕様がバラバラになっていることで業務が非効率になっている点が指摘されてきたほか、自治体が特定のベンダーに頼り切りになる「ベンダーロックイン」を問題視する声も挙がっていました。今回のシステム標準化によって、そうした問題は解消されるとみていますか。

C 各自治体でシステムを個別にカスタマイズしていたことで、金銭的コストや人的負荷が必要以上にかかるといった問題が解消されるという利点はある。

A 国が用意するクラウドを利用してシステムが標準化されると、システムを乗り換えたいとなったときに、ベンダーも比較的乗り換えやすくはなるはずだ。ベンダー同士の競争力が働くようになり、特定ベンダーに依存し続ける状況が解消されるのは、公平性の観点から望ましいと思う。

D ベンダーロックインの解消という意味では、読めない部分もある。今回の標準化に当たって、業務によっては規模が小さいベンダーが撤退しているケースもある。結局大手にしか請け負えないといったことになれば、はたして本当に将来的に乗り換えがしやすくなるかは疑問が残る。

E 市民生活にとっては、今回の移行で直接的な利点があるわけではない。競争環境の変化に対応するために、ベンダー側が市民向けの新しいサービスを積極的に開発するようになれば、便利な行政サービスを使えるようになるといった展開は期待ができる。

ただ、そこまで辿りつくのはまだまだ先の話。システム標準化は、あくまでそのための「基盤作り」といった位置付けだ。

コストは「3割削減」どころか…

――政府は、標準化などを進めることによって、自治体のシステムの運用経費を2018年度と比べて「少なくとも3割削減」することを目標としています。費用削減効果は期待できそうですか。

A 政府はクラウド事業者と一括契約することによって割り勘効果が働き、利用料が安くなると説明しているが、その点について私は懐疑的だ。

現状、われわれの試算や、先行自治体の状況を見ても、コストのメリットがまだ見えてこない。クラウドに接続する回線などの経費もかかるので、簡単に3割減という効果は出せない。予算に関わり、議会も気にするところだ。

C 同感だ。本来であれば、クラウドを共同で使うことによるコストメリットが期待されるものの、クラウドの利用環境がドル建てで、円安などの影響で当初想定よりも高くなるとの話も聞いている。

B うちの町の試算では、むしろ現在よりも大幅に費用が高くなってしまう見込みとなっている。ランニングコストは、現在の3~4倍かかるとの試算だ。

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