底を脱した楽天、株主たちが語った「安堵と不満」 株主総会での注目点はモバイルから財務戦略に
東洋経済オンライン / 2024年4月2日 7時0分
東京郊外の多摩川沿いに位置し、「都会と自然が調和する街」として知られる世田谷の二子玉川。曇天となった3月28日の朝、都内を代表するセレブタウンは、駅前にプラカードを手にした大勢の楽天グループ関係者が立ち並び、いつもと異なる雰囲気が漂っていた。
【写真で見る】総会当日、本社周辺の様子。コロナ後では最多となる465人の株主が来場したという
改札から出た人々の多くがプラカードに目をやりながら、近くにそびえ立つ高層ビルへと列をなすように吸い込まれていく。
楽天は同日午前10時から、この地に構える本社「楽天クリムゾンハウス」で27回目の定時株主総会を開いた。会場は昨年までの「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)から一変し、初の本社開催となった。
株価は年初から約4割上昇
「500円くらいのときに底値だと思って買ったら上がってきたので、結果的にラッキーだった。結局モバイルが赤字なだけで、他は好調だ」。総会開始前、約1年前に楽天株を購入したという50代の株主の男性は取材にそう話した。
楽天が2月に発表した2023年12月期決算は、売上高が前期比7.8%増の2兆0713億円、営業損益が2128億円の赤字(前期は3716億円の赤字)だった。営業赤字は4期連続となったが、懸案のモバイル事業がコスト削減や基地局整備の一巡などで改善し、前年より赤字幅は大幅に縮小した(詳細はこちら)。
23年ぶりの無配を決めた一方、モバイルの契約数が順調に増えたことや、注目されていた財務面で「2024年のリファイナンス(負債の借り換え)リスクは解消した」と説明したこともあり、その後の株価は急騰。足元では800円台後半と、年初から約4割上昇している。
コロナ後では最多となる465人の株主が来場したという、今回の株主総会。三木谷浩史会長兼社長は何を語ったのか。ここからは、出席株主への取材などを基に、総会の様子を紹介していこう。
この日、議長を務めた三木谷氏は、楽天モバイルの代名詞である「ショッキングピンク」を連想させる明るい色のネクタイに、スーツ姿で登場した。総会では、前期の事業実績をビデオで報告後、株主からの関心がとくに高い「財務戦略」「モバイル」「AI(人工知能)」の3つのテーマが個別に説明されたという。
3つのテーマのうち、最も長い時間が割かれたのがモバイル事業だった。三木谷氏は、モバイルが巨額の投資一巡後は利益率が大きく上昇する「固定費型ビジネス」であることや、ECや金融といった他事業とのシナジー効果が期待できることなどを説明した。
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