二階氏「不出馬表明」という"したかかな戦略" 裏金問題は処分対象外で「事実上の無罪放免」
東洋経済オンライン / 2024年4月3日 10時0分
3月25日の引退表明会見で二階氏は、冒頭から聞き取りにくいほどの小さな声で「自らの政治的責任を明らかにすべく、岸田総裁に次期衆院選に出馬しないことを伝えた」「(不出馬理由は)派閥の政治と金の問題が政治不信を招き、その責任を取るため」などと手元のメモを読み上げた。傍らには最側近の林幹雄元経済産業相がサポート役として並び、会見の司会役も務めたことで、二階氏の弱々しさも際立っていた。
ただ、質疑応答の終盤に、顔見知りの地元記者から「引退理由に年齢も含まれるのか」と問われると、その記者をにらみつけて「(政治家の)年齢に制限があるのか」と突然声を荒らげ、捨て台詞のように「お前もその年が来るんだよ。ばか野郎」と恫喝した。
もちろん、この異様なやり取りはすぐさまインターネットにアップされ、瞬く間に大炎上。トレンド上位となる中で「バカ野郎はお前だ」などと二階氏批判の書き込みがあふれたことで、「会見自体がまさに晩節を汚す結果」(閣僚経験者)となった。
一方、二階氏の後継問題については、もともと二階氏周辺が「二階さんの息子は派閥会長でも何でもないから、後継者として公認すればいい」と主張してきたこともあり、今回の引退表明は「結果的にベストなタイミング」(自民幹部)となったことは否定できない。
党執行部、二階氏を処分せず“無罪放免”
しかも、裏金事件での政治・道義的責任による処分を協議している党執行部が1日に「二階氏は不出馬表明で自ら政治責任をとった」(茂木敏充幹事長)として処分しない方針を打ち出したことで、事実上の無罪放免となった。このため、党内では「首相と二階氏の“裏取引”の結果ではないか」(自民長老)との臆測が広がる一方、「政治資金の説明もできず、『これから先の追及も嫌だ』と投げ出しただけで、何の反省もない」との批判も相次いでいる。
ただ、今回の二階氏の決断が、「知らぬ存ぜぬ」で責任逃れを続ける安倍派幹部に対する「自発的引責を求める強い圧力」(自民長老)になったことは間違いない。自民党執行部は4日に関係議員の処分を決める方針だが、その内容は①不記載によるキックバック継続決定に絡んだ安倍派幹部らは厳重処分②不記載額が500万円以上の議員も一定の処分――との方針を固めている。
その一方で、裏金事件の最大のキーマンとされる森喜朗元首相については、岸田首相との隠密裏の接触の結果、「森氏が裏金事件に自ら関わった証拠はなかった」(党幹部)として、こちらも「お咎めなし」と結論付けた。
岸田政権を追い詰める「国民的自民批判」
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