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川勝知事「知性の高い」発言がマズいこれ程の理由 「上から目線」「臆測による対比」あとひとつは?

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 17時30分

【問題点1】にじみ出る「上から目線」

今回の発言からは、県民より県庁職員を上位に置いているような印象を受ける。

また「訓示」という性質から、新入職員より自身の立場が上であるという構図もあり、川勝知事を頂点に置いた「静岡県の権力ピラミッド」のような印象を覚えてしまう。

そこで思い出したのが、2015年の出来事だ。テレビカメラも入った会談の場で、川勝知事が当時の田辺信宏・静岡市長を「キミ」と何度も呼び、田辺氏は「静岡市長です。ずーっと気になっていた」と苦言を呈した。

確かに川勝知事の方が年長者ではあるが、田辺氏も市民から選ばれた存在だ。しかも静岡市は政令指定都市であり、自治体としての権限もそれなりにあるのだが、この発言からは「県知事である自分が上」というイメージを与えて反発を呼んだ。

【問題点2】根拠のない「臆測による対比」

続く問題点は、数値的根拠に乏しい比較だ。県庁職員が他の職業と比べて「知性が高い」という根拠はなく、そもそも対立構図に持ち込めるものでもない。そんな、指標が明確でない状態での「臆測による対比」は、過去にも行われていた。

たとえば2021年には、参院静岡補選の応援演説で、御殿場市を地盤とする対立候補について「あちらは(特産となる食材が)コシヒカリしかない」などと発言。これを発端として、県議会に辞職勧告決議案が出され、可決したものの、知事職は辞さなかった(後に不信任案も出され、1票差で否決されている)。

今回の発言も、客観的なデータを示さずに「職員は頭脳、知性の高い存在」と表現したことにより、相対的に他の職業は「それより下」と位置づけられてしまった。かつて早稲田大学教授などを務めた川勝知事らしくない、エビデンスに乏しい発言と言えるだろう。

誠実さにも欠けていた

【問題点3】自説にとらわれ、世論を認識できていない

もし問題視される発言をしても、周囲からの指摘を受けて、柔軟に対応できれば、最悪の事態は回避できる。しかし川勝知事の場合には、自説と世論のギャップを正確に認識して、誠実に向き合っていたかの点で疑問が残る。

たとえば、2021年6月には知事選期間中に、かつて自身が学長を務めた大学の学生について、「みんなキレイ」「顔のキレイな子は、賢いことを言わないとキレイに見えない」などと発言。その内容が約半年後に報じられると、女性差別やルッキズムの文脈で批判を浴びた。

川勝知事は同年12月2日の会見で「一言で言えば、不適切そのもの。撤回し、お詫びを申し上げたい」として、「差別はしないというのが基本的な私の姿勢」「言葉遣いも含めて、正確を期して発言するというふうに改めないと駄目」との認識を示していた。

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