前澤氏も猛抗議「SNS上の悪質詐欺広告」の超深刻 荒れにくいSNSはどこへ?Facebook上などに大氾濫
東洋経済オンライン / 2024年4月3日 18時0分
違法広告に対する対応は、グローバルIT大手をとっても、各社で異なっている。
先月3月27日、米Googleは広告の安全性に関する年次報告書を発表した。それによると、2023年、Googleは55億件以上の広告と、1270万以上の広告アカウントを、ポリシー違反でブロックまたは削除したという。生成AI(人工知能)によって、不正な広告も増えているが、Google側も生成AIを駆使して取り締まりを強化している。
実際、筆者自身が日常的にGoogleを利用していても、不適切な広告は少ないように思えるし、不適切な広告をユーザー自身が簡単に報告できるフォームも用意されている。
広告収入によって莫大な利益を上げているIT事業者が、収益の一部と自社の高度な技術を費やして、広告の健全化を図ることは、企業としての責務である。
米Amazonも同様に、AIを活用して不正レビューを検知し排除するしくみを構築している。また、偽レビュー業者を提訴するといったことも行われている。どの程度の効果が上がっているか、具体的なデータや報告は見つからないが、筆者がAmazonを利用していても、明らかにおかしい評価は、依然と比べて見られなくなってきていると感じている。
Meta社も対策は行っているが、不十分である。日本だけではなく、アメリカ本国でも同社の独立監査機関から、Facebookにバイデン大統領のフェイク動画が投稿されたことに対して、同社の投稿監視ポリシーが一貫性を欠いていると指摘されている。
もともと、Facebookは実名での登録が中心となっており、「荒れにくいSNSサービス」として普及してきた。Facebookは、2008年の大統領選でオバマ陣営が有効活用することで勝利に貢献したり、2010年以降に起きたアラブの民主化運動で反政府運動に活用されたりしてきた。
成長期には、「世の中を良くする民主的なSNS」として期待されてもいた。創業者のマーク・ザッカーバーグ自身も、そうした理念を口にしてきた。その点からすると、現在のMeta社を見る限り、創業時の理念から遠のいてきているようにも見えてしまう。
包括的な取り組みが必要
何よりも重要なのが、メディアやSNSプラットフォーム事業者自身がしっかりとした対策を取ることだ。また、それを可能にするために、被害を受けた側だけでなく、広告主、広告事業者、行政など、関係各所が対策を講じることが重要だ。
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