1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

外国人がびっくり「日本のお通し」ここがヘンだよ 店側にとってのメリット、トラブル防ぐ対処法

東洋経済オンライン / 2024年4月4日 13時30分

混雑状況にもよるが、簡単なサラダなどであったとしても、オーダーを取ってから席に運ばれてくるまで5分くらいを要するだろう。

だが、お通しは、どの客にも共通して提供されるものなので、事前に用意することが可能だ。そのため店側は、客が着席してから、すぐに提供することができる。

コロナ禍でスタッフが離れてしまい、多くの飲食店ではいまだに人手が足りていないだけに、事前に準備できるのは非常に助かるのだ。

お通しは、お酒と一緒に味わう酒肴といった位置付けでもあり、最初に注文するビールなどのアルコールにもよく合う。

また、飲食店が柔軟に内容を決めることができ、食材を効率よく利用できるという利点もある。

余っている食材を利用したり、安く仕入れられた食材を活用したりなど、素材を効率よく利活用できるのは、SDGsの観点からも好ましい。お通しという“おまかせ”の一品が提供されることは、サステナビリティーの観点からも非常に意味があるのだ。

飲食店のコストは、提供される料理だけに、かかっているわけでは当然ない。料理人や、サービスを遂行するスタッフの人件費はもちろん、飲食店が入居するための賃貸料、内装の施工や維持の費用、テーブルウェアの購入費、空調や明かり、ガスといった光熱費など、皿の上以外にもたくさんのお金がかけられている。したがって、客がテーブルに座るだけでもお金がかかると考えていい。

イタリアの飲食店ではコペルトというテーブルチャージ(席料)が料金に計上される。日本の飲食店でも、コペルトや席料といった名目で料金をとることは珍しくない。夜のバーに行けばテーブルチャージが課され、生演奏があればカバーチャージ(ミュージックチャージ)が加算される。

街場の飲食店であれば、お通しは300~600円、テーブルチャージは500円前後。夜間におけるホテルのバーやラウンジであれば、テーブルチャージは1500~2000円、カバーチャージは2500~3000円程度だ。

アミューズと席料の値段であると考えるのなら、お通しの料金は決して高いとはいえないだろう。

お通しで飲食店の実力を測ることも

ファインダイニングでは、食材の効率性を高めたり、料理人の才能をいかんなく発揮させたりするために、おまかせコースとなっていることが少なくない。このおまかせコースを食べてみることが、その飲食店の実力を測る最適な方法だ。

これと同じように、店側が自由に内容を決められるお通しは、飲食店の実力を測るのにちょうどよい1品。たった数百円のお通しにも真摯に取り組み、満足のいくものに仕上がっていれば、ほかの料理も期待できるに違いない。

店側はお通しの料金をきちんと提示したうえで、訪日観光客を含めた客側は、お通しにどのような1品が提供されるのか、飲食店の腕の見せどころだと思って、楽しんでもらいたい。

東龍:グルメジャーナリスト

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください