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メルカリ配送「新激安サービス」なぜ実現できた 大手の3割安、価格競争突入とも思われたが・・・

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 7時40分

ドライバーの報酬も重点だ。SBS即配サポートのドライバーは外部委託も多く、東京で7割、埼玉、神奈川、千葉は8割を占める。ドライバーの収入増につながる仕事であることが大前提だった。

料金は安くても、ドライバーの報酬は確保

既存の仕組みを活用し集荷コストを抑え、空き時間で置き配の荷物を配達するなどの工夫によって、「ドライバーの荷物1個当たりの報酬は、BtoBで運ぶほかの仕事と同等の水準で運べる」(前田氏)という。

エコメルカリ便は東京、神奈川、千葉、埼玉でスタートした。今後はエリアを拡大し、2024年内には東名阪、さらにプラスアルファの地域に拡大する構えだ。

SBS即配サポートもグループ会社の配送網を利用したエリア拡大の準備を進めている。

SBS即配サポート営業開発課長の阪西浩介氏は「さらに生産性を上げていきたい。何個ぐらいまで既存のインフラでやっていくのか、増車をどう実施していくか。配送品質もよくするなど、つねにチェックしていく」と語る。

メルカリの配送においては、コロナ禍の2020年、ヤマトが小型荷物の料金値下げでシェア奪取に動き、日本郵便の「ゆうパケット」が大打撃を受ける“事件”があったことは、物流関係者の記憶に新しい。

今回、メルカリ側は新サービスの開始についてヤマトや日本郵便に事前に伝えている。現状はスマリボックスを利用した荷物量がさほど多くないこともあり、両社ともまずは様子見の姿勢だ。

ただし、ヤマトの「らくらくメルカリ便」も同じくスマリボックスから発送できるサービスである。出品者からすれば、あえて高い送料のサービスを選ぶ理由はない。

置き配に同意する購入者が増えれば、エコメルカリ便の荷物も増えていくだろう(エコメルカリ便は購入者が置き配に同意した場合に利用可能)。なんらかの対抗策を打ち出す可能性もありそうだ。

運賃値上げが相次ぐ中「値下げ」の是非は?

この4月、物流業界は残業の上限規制によって、主に長距離ドライバーの人手不足が懸念される「2024年問題」に突入した。

宅配の分野で、直接残業規制の影響が生じるわけではないが、業務効率化が必要な面や、ドライバーや協力企業の待遇改善に向けて、荷主に対して運賃を上げていくなどの課題は同じだ。

メルカリは宅配分野で存在感を増している。現在、年間50億個(2022年度、国土交通省調べ)の宅配便取扱数のうち、5~10%を占めると言われる。しかも、流通総額は年間10%以上伸びているのだ。

そんなメルカリが投入した「エコながら非常に低価格」な新配送サービス。今のところ価格競争に突入する気配はないが、物流業界へ影響がどう波及するのか注視される。

田邉 佳介:東洋経済 記者

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