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ビットコインが「こんなに爆上がり」している背景 「使わない」暗号資産を大金で買う人が増えた訳

東洋経済オンライン / 2024年4月6日 10時40分

誤解してはいけないのは、値上がりしてハッピーになるわけではないのだ。値上がりしても、その価格で売れなければ、儲けを現金化することはできない。

新しく保有したい人がいなくなったら、そこで値上がりは止まる。値上がりが止まったところで売ろうと思っても簡単に売れない。なぜなら、“新しく保有したい人がいなくなった”からだ。

買ってくれる人がいなければ、価格は下落する。このままじゃまずいと思って保有額を減らそうと思う人が他にも大勢いるから、価格は急降下する。

これがドルなどの通常の通貨であれば話が変わる。1ドルあたりいくらなのかを気にする参加者が大勢存在しているからだ。

1ドル200円のドル高円安になれば、海外旅行の費用が高くなり、海外へ旅行する日本人は減るし、円安の恩恵を受けて、北海道の土地を買う外国人は増える(外国人からみるとドルで換算した価格が安く見える)。その結果、ドル売り圧力が強くなる。

このように、値上がり期待の人が増えても価格が一方的に上がることはない。しかし、逆もしかりである。値上がり期待の人が急に減っても暴落することはない。

ドルでも円でも一般的な通貨はものやサービスの価格にひもづいている。つまり、その通貨を使って買い物をする人が大量に存在しているのだ。

しかし、暗号資産を使って買い物をする人はほとんどいない。

明治初期、なぜ「円」は急速に普及したのか

ビットコインが誕生して15年以上も経つのに、決済手段として使われることはかなり限定的だ。一方で、1871年(明治4年)の「新貨条例」で誕生した円は、数年で全国に普及した。

社会の仕組みがわかれば、その理由は判然となる。

小説『きみのお金は誰のため』では、こんな会話がなされている。

「ですけど、税金が理由で紙幣を欲しがるのなら、紙幣が金と交換できる必要はありませんよね」

七海の冷静な眼差しがボスに向けられる。

「金と交換できたのは、補助輪みたいなもんやな。いきなり紙幣を使えと言われても混乱するやろ。実際に新制度についていけずに土地を失った農家も多い。はじめは、金と交換できるという安心の補助輪が必要やねん。本体の車輪は税金を集めることなんや」

ボスの説明に、「なるほど」と七海が小さくうなずいた。

「仮想通貨が普及しないのも、きっとその理由ですね。多くの人が価値を信じていても、お腹を空かせていないから、普及しないんですね。ようやく話がつながりました」

「そやな。もしもこれから、仮想通貨でないと税金を納められないとなったら、みんなこぞって仮想通貨を欲しがるやろな」

ボスの話を聞くうちに、優斗にもお金の正体が少しずつ見えてきた。

「今の説明はわかりましたよ。まだ、なんとなくですけど。でも、全体だと価値が無いってのが、よくわかんないです」

『きみのお金は誰のため』46ページ

私たちが日々目にしている市場の値動きは表面的な現象に過ぎない。

金融市場や投資活動などの仕組みは、社会のため、私たちの生活を豊かにするために存在している。つまり、社会のために活用することができた人に利益がもたらされるようになっている。

もちろん、安く買って高く売れば利益は得られるが、それだと運だけのゲームに変わってしまう。

投資の世界では、社会の仕組みを知ることが、資産を守りさらに増やすためのカギになっている。

田内 学:お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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