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オーストリア鉄道「新型レイルジェット」の大進化 特急車両も「低床化」でバリアフリーを徹底

東洋経済オンライン / 2024年4月6日 6時30分

9両の内訳は、ビジネスクラス(特等)を含む1等車が2両、半室2等/食堂車が1両、車いす対応2等車が1両、ほかの5両が一般の2等車だ。

ホームに合わせて車両を「低床化」

新型車両の最大の特徴は、9両編成のうち前後の各1両を除く7両の車体中央部分(台車間)が低床構造となっている点で、以前の記事でご紹介した新型ナイトジェットの座席車(2023年12月29日付記事「欧州『新型寝台車』需要拡大だけでない導入の理由」)とまったく同一の構造だ。

低いホームが多い欧州では、バリアフリー化のために低床構造の車両を導入する国が増えており、レイルジェットもそれにならった格好だ。とはいえ、ホームの高さは各国でバラバラのため完全な段差の解消は難しく、実際に同型の新型ナイトジェットを利用した車いすユーザーの乗客からは、ドイツのハンブルク駅で下車する際に少々難儀した、という声を聞いた。このあたりは最大公約数でカバーするしかないと言えよう。

技術的な特徴としては、旧タイプとの比較で30%も軽量化された新型台車が挙げられる。軽量化によって乗り心地が向上したほか、エネルギー消費量の削減にもつながっている。

また、窓ガラスはシーメンスが開発し特許を取得した、電波の透過性が高い特殊ガラスを採用している。これは標準的なガラスとの比較で約50倍もの電波を通し、車内で携帯電話(欧州では通話可能な車両がある)やインターネットが快適に使用できる環境を提供している。このほか、自己診断システムの導入によって車両の状態を常時監視し、適宜データを車両工場へ転送することでメンテナンスを効率的に行い、故障を未然に防ぐことが可能となる。

食堂車に加えて軽食自販機も

車内は、ビジネス(特等)と1等はこれまでと同様の構成で、ビジネスは最大定員4人の個室、1等は横2+1列のオープン座席となっている。

個室は車端部に2部屋が設けられているが、興味深いのはこの2部屋は完全に壁で仕切られているものの、その壁がガラスとなっていて、隣の部屋が見えるという点だ。欧州のコンパートメントは死角が多いことから犯罪の発生確率が高く、近年は日本の特急車両などと同じオープンスタイルの車両が主流となっているが、一方で個室というプライベート空間を確保できるため人気もある。ÖBBの答えは、2つの部屋をガラスで仕切ることで死角を減らすというところにたどり着いたようで、2等車に設けられた個室も同様の構造だ。

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