イオンの最高益支える小型店「まいばす」の正体 首都圏に1100店超、業界の定説覆した2つの秘訣
東洋経済オンライン / 2024年4月6日 8時0分
4月10日に発表されるイオンの2024年2月期の通期決算。人流回復に伴う食品スーパーや総合スーパーの収益改善により、本業の儲けを示す営業利益は過去最高を更新する見込みだ。そんなグループの中で存在感を高めている事業会社がある。小型スーパーを展開する「まいばすけっと」だ。
【写真】まいばすけっとでは生鮮食品も充実。商品管理は徹底的なマニュアル化を図っている
「まいばす」は、首都圏の1都3県にイオンが展開する小型スーパー。店舗数は1130店を超えた。生鮮三品から総菜まで、通常のスーパーと同様の品ぞろえながら、標準的な店舗面積は約50坪とコンビニサイズ。食に関するニーズをひと通り賄うことができる便利店として、消費者の支持がじわり広がっている。
男性よりも女性の利用が多い
「『普段の食事は一手間かかっても安く、そしておいしくすませたい』という、コンビニに抵抗感のある人の利用が増えている」(イオン中堅幹部)。価格面でもコンビニより安いものがほとんどで、価格に敏感な若年層やファミリー層の利用が増えている。男性客の多いコンビニとは対照的に、女性比率のほうが高いことも特徴の1つだ。
2024年2月期は80店の出店に加え、既存店売上高は前期比ほぼ2桁の伸びとなったようだ。イオンの食品スーパー部門の利益成長を牽引している。
これまで業界では、小型スーパーは成功しないと言われてきた。「スーパーはただでさえ利益率が低いのに、それを(売り上げの)小さい店舗でやっても人件費などの固定費が重く、収益を出しにくい」(まいばすけっとの二川真悟経営企画部長)と見られていたからだ。
小型スーパーとしては、同じイオングループのマルエツ(東京都)が運営する「マルエツプチ」や、トライアルホールディングス(福岡県)の「TRIAL GO」などがあるが、店舗数はいずれも数十店舗に過ぎない。大手コンビニチェーンもたびたび生鮮強化の方針や新業態を打ち出しているが、本格的な多店舗化には至っていない。
そんな中で、なぜまいばすだけが成長路線に乗っているのか。まいばすについては公表資料が少なく、あまり取材を受けないことでも知られるが、関係者の話を総合すると、大きく2つの秘訣があることが見えてくる。
まず一番に挙げなくてはならないのは、徹底したローコスト運営だ。
たとえば生鮮食品の取り扱い。伝統的に食品スーパーでは、同じ生鮮食品でも青果部門、精肉部門といった具合に「縦割り」の組織になっている。それによって専門的な品ぞろえを実現する反面、商品管理を含めて多くの人手をかけているため、利益の出にくい部門になっている。
生鮮品の管理作業は素人でもできる
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