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「君たちはどう生きるか」中国で特大ヒットの裏側 日本と宣伝手法一変、「宮崎駿最後の作品」強調

東洋経済オンライン / 2024年4月9日 14時30分

「見終わった後、何を見たのか考え込んだ。風邪を引いたときに見る悪夢のよう。前半は何とか理解できたが、後半はうなされ続けた」

「日本人にも理解できないのに、どうして自分に理解できようか。絵は美しかった」

一方、「戦争やオイルショックを経験して、まだ創作活動をしている監督を尊敬してやまない」と言ったように、作品の内容には触れず、宮崎監督を称える投稿も少なくない。

「宮崎監督の別れの一作」を前面的に出す

それが、中国での上映後に投稿されたレビューは、暗喩の多さや難解さを受け入れ、自分なりに解釈しようと作品に「寄り添う」ものが増えている。

「難解」との前情報が出回っていることと、アカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞して箔が付いたこともあるだろうが、「映画に人生をささげた宮崎監督の別れの一作」を前面に出したプロモーションが、観客に心の準備をさせ、作品受容度を高めているのは間違いない。

日本では「10年ぶりの新作」として話題を呼んだ『君たちはどう生きるか』は、中国では83歳の宮崎監督の「最後の作品」と思わせる演出が強調され、ポスターには「告別之作」と記されている。

「宮崎監督からのラストメッセージを、しっかりと受け止めなければ」との思いに駆り立てられ、多くの人が映画館に足を運んでいるのだ。

もちろん、公開後5日間で興行収入が100億円を超えたのは、3連休に当ててきたことを抜きには語れない。今後は日本と同じように勢いが鈍る可能性も十分にある。

日本アニメ公開が続々控える

そうだとしても、日本のアニメ映画にとって追い風となったのは間違いない。5月1日から始まる労働節(メーデー)の5連休に合わせて、中国では話題作が次々に封切られる。その中には『ハウルの動く城』『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』と、日本アニメ2作品が含まれる。

2004年に日本で公開されたジブリ作品『ハウルの動く城』は豆瓣で100万を超えるレビューが投稿され、平均スコアは9.1と極めて高い。『君たちはどう生きるか』が難しくて消化不良だったとしても、中国人には宮崎駿アニメの王道を行く次の作品が用意されているのだ。

浦上 早苗:経済ジャーナリスト

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