サッポロ"無風"総会の背後にファンドとの攻防 「不動産は甘え」、会社は事業再編も受け入れた
東洋経済オンライン / 2024年4月11日 7時20分
「アサヒビールの総会と比べてずいぶんおとなしい株主が多い。質問も少なく、あっさり終わってしまった」
【図表で見る】サッポロは3年近くファンドから執拗に”答え”を迫られた
看板商品である「ヱビスビール」発祥の地、東京・恵比寿で3月28日に開かれた、サッポロホールディングスの定時株主総会。千葉県から来たという株主の男性(60代)は、そう言ってため息をついた。
サッポロをめぐっては、昨年12月にこわもてで知られる物言う株主「3Dインベストメント・パートナーズ(3D)」が同社株の2割弱を握る筆頭株主に躍り出たこともあり、株主総会の行方が注目されていた。
「酒類一点集中」方針へ大転換
総会に出席した株主は220人と5年ぶりに200人を超えた一方、質問者数は6人と過去5年で2番目の少なさだった。4月1日に開示された臨時報告書によると、剰余金の配当や取締役8人の選任など、会社側が提案したすべての議案が97%以上の圧倒的多数で可決された。
“無風”で終わったサッポロの総会だが、その過程には、これまでの事業構成をがらりと変える方針転換があった。
2024年2月、総会に先立って発表された「中長期経営方針」は衝撃的な内容だった。2026年12月までの中期経営計画のさらに先を見据えて策定された方針で、サッポロが酒類事業への一点集中を宣言したからだ。
同社はこれまで酒類と食品・飲料、不動産の3事業の集合体だった。だが、今後はビールが柱の酒類事業に傾注し、海外M&Aも進めると表明。保有不動産への外部資本の導入・流動化なども検討すると発表した。
突然に思える戦略の転換だが、背景にはシンガポールの投資会社、3Dからの執拗な働きかけがあった。
2023年1月に始動した現中計で、不動産事業は酒類事業に並ぶ利益の柱、「コア事業」の位置づけだった。ファンドの意向もあり、そこから1年強で不動産はコア事業から外れることとなったのだ。
総会では株主から「ファンドにケツをたたかれ、不動産事業を整理するのは心配だ」との質問が出た。これに尾賀真城社長が「整理するということではない。保有のあり方について研究している」と応じる場面もあった。
不動産事業は「経営の甘え」
3Dがサッポロに接近を始めたのは2022年。収益性の低い酒類事業が株式市場で低評価を受けていることを背景に、現中計の発表前に同社の社外取締役に対して経営計画を検証するよう要望した。だが3Dによれば、サッポロからは拒絶、回答なしといった対応だった。
この記事に関連するニュース
-
株主に「経営陣退陣」を迫られた2社が残した宿題 主導権は会社側が確保するも"一件落着"ならず
東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時30分
-
株主総会 経営陣の選任案も真剣勝負に
読売新聞 / 2024年7月2日 5時0分
-
京成電鉄、物言う株主の提案に賛成30%弱の意味 オリエンタルランド株の売却迫る提案は否決
東洋経済オンライン / 2024年6月28日 20時0分
-
東京コスモス電機(証券コード:6772)によるGlobal ESG Strategyの株主提案に関する開示についての注意喚起のお知らせ
PR TIMES / 2024年6月21日 22時40分
-
株式会社ウィザスの第48回定時株主総会における議決権行使助言会社ISS社及びグラスルイス社の議決権行使推奨について
PR TIMES / 2024年6月20日 18時40分
ランキング
-
1FRBの利下げ開始「9月」の見方強まる…6月の米雇用統計、人手不足の緩和傾向で
読売新聞 / 2024年7月6日 22時30分
-
2サクランボ王国・山形県に異変 6月の暑さで収穫減、対策急務
共同通信 / 2024年7月6日 16時15分
-
3日本の中古車相場が「ロシア」の影響で下落!? 厳しい「輸出規制」のなかで「売れている」クルマも? 意外な“ロシア行き日本車”とは
くるまのニュース / 2024年7月6日 12時10分
-
4ミニストップ“大量閉店”でもスイーツ人気は底なし!? 「ソフトクリーム」や「ハロハロ」がいつの間にか遂げた進化
集英社オンライン / 2024年7月6日 19時0分
-
5フリマサイトの種苗、規制強化へ 優良品種保護へ法改正も
共同通信 / 2024年7月6日 17時39分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)