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桜の開花「今年は遅かった」思う人に教えたい真実 地球温暖化が与える思わぬ影響を「数学」で解析

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 11時0分

この「桜の開花時期の繰り上げ」は、長期的に見ると大きな問題になりうるのです。具体的には、日本各地で桜が満開にならなくなる、もっと言えば、一部の地域で桜が開花しなくなる可能性が生じるのです。今回はこの問題について、この連載記事のテーマである「数学」も用いながらデータをひもといていきましょう。

おそらくこの記事を読んでいる多くの人は、開花期間が変化している要因は「地球温暖化」にある、という事実をどこかで聞いたことがあるでしょう。もしニュースなどで聞いたことがなかったとしても、なんとなく想像できることだと考えます。しかし、具体的に地球温暖化が桜に与えている影響はあまり知られていません。

今回は、地球温暖化が桜に与えている影響をいくつかあげて数学的に解明しながら、どのように日本の桜が危機に直面しているのかを考えていきましょう。

地球温暖化によって平均気温が上がり、2月、3月の気温が高くなると、その分だけ桜は早く開花します。これは皆さんのイメージどおりでしょう。現に、春が異常なほど暖かかったといわれていた2021年や2023年は観測史上一番の早さで桜が開花しています。

桜が早く開花することは、もちろん「開花の予想がつかない」という点では課題ですが、その分春休みとお花見シーズンが合うなど、メリットも大きいのではないかと考える人も多いでしょう。

実際に、桜の開花が早ければ早いほど、経済効果は高くなるというデータも算出されています。気温が高くなって暖かくなれば、外に出る人が増える。外出によって物を買ったり外食をしたりして経済が回る。また、季節の変化に合わせて春物の服を買う人も増加するなど理由はさまざまありますが、いずれにせよ桜の開花が早くなることは大きな問題ではないどころか、むしろ日本の経済にいい影響を与えると言うこともできるのです。

地球温暖化が「桜の休眠打破」に影響

では、何が問題なのか。桜の花が満開になるまでの過程は、花芽形成→休眠→休眠打破→成長→開花→満開という流れになっています。花芽形成は桜が咲く前年の8月から9月はじめごろの間におきます。満開の時期から考えると、半年も前から芽が生え始めているのですね。

その後、桜は休眠に入ります。休眠の程度は10~11月ごろにもっとも深くなり、その後徐々に浅くなっていきます。この休眠から目覚めていく過程を「休眠打破」と言うのですが、この「休眠打破」に、地球温暖化が大きな影響を与えているのです。

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