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ロシアに無知だったEUはソ連のように自壊する ロシアを民主主義の反面教師としてきた欧州のツケ

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 8時0分

ウクライナ戦争が始まったとき、まさにロシアという敵が出現したことで、米欧諸国は1つに団結できた。政府もマスコミもこぞってロシアを悪役としてあぶり出し、正義の同盟としてのNATOを鼓舞した。

しかし、西欧にとってロシアという敵は、本当はロシアだけではなく、「野蛮な」アジアやアフリカ諸国であることを知ったアジア・アフリカ諸国の多くは、NATOの側ではなくロシアの側に立ったのである。

そうした問題が起きれば起きるほど、西欧の団結よりもアジア・アフリカ諸国の団結が力を得てくる。そうした状況の中、西欧諸国の中には不安を持つ国が出てきている。

とりわけ少し前までソ連の衛星国であり野蛮の象徴であった東欧諸国は、1989年以降の西欧に引き寄せられた歴史を思い起こすはずだ。西欧諸国にとって東欧諸国は西欧の周辺諸国にしかすぎず、捨て駒なのだ。自らもウクライナになる可能性があるのだ。

今ここで西欧が再びロシア脅威論を声高に叫んでいるのは、ヨーロッパの中で起こりつつある仲間割れを防ぐためかもしれない。ウクライナはもうもたないであろう。すでに、インフラ設備は破壊され、電気もガスもない状態だ。戦える状態ではない。

しかし、その死に体のウクライナを支援し戦争を継続させるとすれば、ウクライナの消滅だけで済まなくなる可能性もある。EUの中でも、民衆と政治権力を握る特権エリートとの対立が起きている。まして戦争に加担するとすれば、EU諸国の民衆も黙っていないだろう。

大きな文明は周辺文明を引き寄せると述べたが、ロシア文明と中東文明は過去の2世紀の間、太陽の役割を果たしてきたヨーロッパ文明を引き寄せ、こなごなにするかもしれないのである。歴史を見れば、その可能性は強い。

崩壊するのは、EUかもしれないのだ。それは、ロシアによるというよりは、自壊といったほうがいいかもしれない。ソ連が自壊したように、EUも自壊していくのかもしれない。
 

的場 昭弘:神奈川大学 名誉教授

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