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高層ビル「台北101」が大地震でも無傷だった秘訣 5年間「世界一」を守ったビルの"制振・耐震設計"

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 19時30分

もう1つは、巨大なウインドダンパーである「チューンドマスターダンパー(TMD)」。

ウインドダンパーとは、風による振動を緩和するための巨大な「おもり」のこと。「チューンドマスターダンパー(TMD)」とは、輪切りにした銅板を何層も重ねて球状にしたウインドダンパーをいう。

高層ビルの揺れ軽減対策として取り入れられており、台北101では、想定される状況に応じてさまざまな揺れ軽減対策が採られている。

台北101では、87階から92階の吹き抜け空間に、直径5.5メートル、重さ660トンの巨大な鉄球が吊るされている。ウインドダンパーとしては世界最大であり、また世界で唯一の一般公開されているウインドダンパーでもある。

台北101が強い風や地震の影響を受けたときには振り子のように動いて、建物の揺れを軽減する。左側からの強風や揺れには、TMDが左側に揺れることでビルの平衡状態を維持する。右側からの強風や揺れに対しては、TMDは右側に揺れる。

その効果は絶大で、揺れを4割も軽減できるといわれている。

TMDは2015年8月8日に台湾を襲った台風13号の際に、左右に1メートルずつ動いた記録がある。つまり台北101という超高層ビルの中で660トンの鉄球が横方向に2メートルも揺れたわけで、実際に目の当たりにしたら生きた心地がしなかったに違いない。

しかし、この鉄球があるからこそ、台北101は台風や地震から守られているのだ。

被害の全容解明はこれから

震源地に近い花蓮県では、建物の崩壊や落石で大きな被害が出ていたり、台北市に隣接する新北市ではメトロ環状線の高架橋にずれが生じたりするなど、被災者の救出と全容解明にはまだ時間がかかりそうだ。

被災者が平穏な生活を送れるようになるには、長い時間がかかるだろう。

市川 美奈子:台湾在住ライター

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