ダイハツ新経営陣が船出、良品廉価を守れるか 適正な開発体制と競争力の両立が至上命令
東洋経済オンライン / 2024年4月12日 12時0分
第三者委は、短期開発を重視するあまり、理想の開発日程を前提とした開発が常態化し、現場に過度なプレッシャーがかかったことが不正への直接の原因とも指摘。2011年9月に発売し大ヒットした「ミライース」の成功体験がきっかけとなったと分析した。このため、ダイハツは開発スケジュールを従来の1.4倍とした標準日程を規定化した。
しかし、あるダイハツの元首脳は「短期開発、ミライースそのものに原因を求めるのには違和感がある」と反論する。
ミライースでは、トヨタ系列に頼ってきた部品の調達網をダイハツ独自に開拓。低コスト化と高効率生産の確立といった幅広い領域での事業見直しで、短期開発と商品力を両立させた。こうした取り組みはダイハツの競争力の源泉だ。
そもそも新車の開発には一般的に5~6年かかるとされ、すべての自動車メーカーにとって短期開発は至上命令。まして、トヨタグループの小型車戦略でダイハツが担う東南アジア市場は、低価格EV(電気自動車)を武器に中国勢が猛攻を仕掛ける。1~2年で新車を開発するとされる彼らと戦わなければならないダイハツが短期開発の旗を降ろすべきかはわからない。
星加副社長は「開発期間は短いに越したことはない。正しい開発ができることを最優先に、諦めることなくやっていく」と話す。トヨタの中嶋副社長は「ダイハツは顧客の意見を反映した小さな車づくりに長けている。これはトヨタ以上だ」と評価する。
適正な開発体制を構築しながら、良品廉価で競争力を持った車をつくる──ダイハツに求められるミッション達成への道は険しい。
横山 隼也 :東洋経済 記者
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