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負けたら怒る・泣く子に必要な「負けてもいい」 ソーシャルスキルは体験を重ねて身につくもの

東洋経済オンライン / 2024年4月15日 18時0分

ただ、勝ちにこだわり過ぎてしまい、ゲームを楽しめないのは、とても残念です。勝ったり負けたり、その両方を味わうことで、心の奥行きが深くなると思います。そのためにゲームがある、ともいえます。

ゲーム遊びでどうしても負けを受け入れられないころは、まだ経験が浅いときです。勝ったり、負けたりする経験を積んでいくことで、負けてもまたやればいい、次は勝つかもしれないと思えるようになっていきます。

保護者が手加減をして、いつも負けてあげていると、子どもは負ける経験ができません。そのような子どもは、子ども同士の集団で負けたとき、大きなショックを受けます。

負けることは悪いことではありません。勝つ人がいれば、必ず負ける人もいるのですから。

小さいころから、勝つ経験も、負ける経験もして、その気持ちを味わうことが大切です。

勝ち負けにこだわるのはママやパパ?

子どもにとって勝ち負けが登場するのはゲームだけではなく、スポーツや勉強の場面でもありますが、子どもは、大人の関心がどこにあるのかを敏感に感じとります。

周囲の大人が勝ち負けの結果ばかりを気にしていると、子どもも勝ち負けにこだわるようになりがちです。一生懸命にやっている姿や楽しんでいる姿を認めたり、喜んだりすると、プロセスを楽しめる子に育っていくのは確かです。

普段から「今日は勝ったね」「だれより速かったね」ではなく、「楽しかった?」「そんなことをやっていたんだね」「よくがんばったね」「楽しんでいる話が聞けて、ママはとてもうれしい」などと声をかけてあげるといいですね。

怒ったり、悔しがったり、すねてしまったり、子どもがマイナスの気分になったとき、早くそこから抜けさせようとして、言葉で説得しがちです。

「負けたって気にすることないよ」「そんなことで怒っていたら、おかしいよ」「がんばってまたやろう」と言われても、子どもの気持ちはおさまりません。

負けて気分が悪いところに注意までされては、どうしていいか、ますますわからなくなってしまう子もいるでしょう。

大切なのは、子どもの揺れる気持ちに、大人が寄り添ってあげること。

「悔しかったんだね」「がんばったんだね」「ママもそんな気持ちになったことあるよ」などと語りかけ、うまくできなくて、もっとうまくやろうとがんばるけれど、でもやっぱりできない、そんな揺れる気持ちを、そのまま受け取り、認めてあげましょう。

「なんでもがんばってやらなきゃダメなんだね」「がんばってやればうまくいくね」など、大人の意見を押しつけることはおすすめしません。

がんばったからといって、必ずしも上手にできるようになったり、ゲームに勝てるようになるわけではありませんから。

子どもの気持ちに寄り添うために

ソーシャルスキルは体験を重ねて身についていくもの。

絵本の言葉をそのまま読み聞かせても、言い聞かせても、それだけではなかなか身につきません。

勝ったり負けたりの体験を繰り返す子どもを見守り、負けて悔しがる子どもの気持ちに寄り添うきっかけとして、絵本を取り入れていくのがいい方法でしょう。

子どもは、昨日の自分と今日の自分をくらべながら成長します。親は、勝ち負けを超えて今の自分は大丈夫なんだと思える子どもの気持ちを応援し、根気よく見守れるとよいですね。

宮里 暁美:お茶の水女子大学特任教授

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