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いなば食品「怪文書発表」がマズいこれだけの理由 迅速対応も「出さないほうがマシ」リリースで火に油

東洋経済オンライン / 2024年4月15日 19時30分

今期の新卒社員は98人となり、そのうち一般職は43人、総合職は55人となる。シェアハウス入居者は、家賃を実質0円にするよう検討している。シェアハウス改修は急逝した副社長の担当で、コンクリートむき出しの場所は、すでに洗濯機が置かれている。

雨漏りの改修を始め、畳も14日に交換予定。そして文章の末尾は、「責任者の死亡により作業指示が大変に遅れ、皆さまに非常に、ご不快をおかけしています。早急に誠意をもって、早期の改修を完了いたします」と結ばれている。

この文章には当初、文の区切りではないところに、謎の改行が挿入されていた。なお4月15日時点で、この文章はすでに書き換えられ、謎の改行は姿を消し、タイトルも「由比のシェアハウス報道について」に変更されている。

質が悪く、違和感を覚える謝罪文

なるべく読者に理解しやすいよう、情報を整理してみたが、それでもなお、それぞれの要素が唐突で、まとまりのない印象を受ける。おそらく「シェアハウスの運用」「今春の新卒採用」「責任者の闘病・死去」「室内の現況・改修」と、4つのトピックにわけられるのだろうが、それらの関連性がわかりにくく、一貫性を感じにくい文章になっているのだ。

ネットメディア編集者として、企業のプレスリリースを長年見てきた立場からすると、企業倫理が問われているタイミングの謝罪文としては、失礼ながら、かなり質が悪いものだと言わざるを得ない。

そもそも、文春報道が「ボロ家」をタイトルにしていたからと言って、発表文まで「ボロ家報道について」とする必然性がない。加えて、一般職を説明するたびに、まるで枕詞のように「異動のない」「転勤のない」「工場配属の」といった表現が加えられる点に、どこか違和感を覚える読者は少なくないだろう。

そして極め付きが、1月に死去した副社長について。のちに削除された部分には、「10月26日に間質性肺炎の急性増悪で緊急入院」「入院期間中の詳細な指示が酸素吸入による呼吸困難でほぼできず、空白となってしまいました」といった記述もあり、詳細に書くことによって、むしろ故人に責任転嫁しているような印象を残す。

この発表に褒めるところがあるとするならば、文春報道から1〜2日後で出されたスピード感だろうか。しかし、はっきり言って、この内容から危機管理能力は感じられない。責任の所在についてはもちろんだが、そもそも「問題点を誤認している」ように思えるのだ。

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